
8月の消費者物価指数の伸びが小さくなった。総務省が2026年9月18日に公表した全国の指数(2025年=100)によると、生鮮食品を除く総合は102.0で、前年同月比1.7%の上昇だった。7月の1.8%から0.1ポイント縮み、2%を下回るのは1月から8カ月続いている[1]。
8月の消費者物価指数、3つの指標
総務省の公表資料から、主な指標を並べると次のとおりだ[1]。
- 総合:102.2、前年同月比1.9%上昇(7月と同じ)
- 生鮮食品を除く総合(コアCPI):102.0、1.7%上昇(7月は1.8%)
- 生鮮食品及びエネルギーを除く総合:102.5、1.9%上昇(7月と同じ)
生鮮食品を除く総合の伸び率は、2025年12月の2.4%から2026年1月に1.9%へ下がり、その後は1.4〜1.9%の範囲で推移してきた[1]。一方、エネルギーも除いた指数は1.9%で横ばいで、伸びの縮小はエネルギーの動きでほぼ説明がつく。
下落に転じたエネルギー、政策の押し下げは0.62ポイント
統計局の分析資料によると、エネルギーは7月の0.6%上昇から8月は0.7%の下落に転じた。「電気・ガス料金負担軽減支援事業」の開始などで、電気代は7月の0.1%下落から2.4%下落へ、都市ガス代は1.1%下落から0.8%下落へと動いた[2]。
統計局は、ガソリンの暫定税率の廃止と政策による効果が、エネルギーを通じて指数を0.62ポイント押し下げたと試算している。内訳はガソリンが0.38ポイント、電気代が0.17ポイント、灯油が0.04ポイント、都市ガス代が0.03ポイントだった[2]。生鮮食品を除く食料の伸びも、7月の3.0%から2.7%に縮んだ[2]。
上がり続ける品目も
指数全体の伸びは小さくなったが、品目ごとに見ると値上がりは続いている。総務省の資料が挙げた主な上昇品目は次のとおりだ[1]。
- 食料:菓子類5.0%(ポテトチップス10.6%)、生鮮魚介13.5%(まぐろ24.4%)、外食2.1%(すし11.2%)、緑茶31.5%、キャベツ45.0%
- 家事用消耗品:10.1%(洗濯用洗剤10.9%)
- 交通・通信:自動車保険料(任意)5.9%、携帯電話機10.2%
反対に、私立高校の授業料は73.2%下がり、教育の費目を押し下げた[1]。
企業物価は7%台、日銀は同じ日に利上げ
消費者に届く価格の手前では、別の景色が広がる。日本銀行によると、8月の国内企業物価指数は前年比7.6%上昇し、円ベースの輸入物価指数は24.8%上昇していた[4]。日銀は、消費者物価の公表と同じ9月18日の金融政策決定会合で、政策金利を1.25%程度に引き上げている[3]。
大和総研は、賃金の上昇がサービス価格を押し上げ、原油高も原材料費や輸送費を通じて広がるとして、生鮮食品とエネルギーを除く物価の伸びが2026年度末にかけて2%を超えるとみている[5]。
「1.7%」をどう読むか
今回の鈍化は、需要が弱まって物価の勢いが落ちた結果というより、補助や税の見直しという政策が数字を下げた面が大きい。0.62ポイントという押し下げ幅を足し戻せば、生鮮食品を除く総合は2%台になる計算だ。電気・ガス料金の支援は夏の3カ月に限った措置であり、支援が終われば同じ分だけ押し上げに回る。
政府は、飲食料品の消費税率を2027年4月から2年間、8%から1%に下げる方針も示している[6]。実施されれば、指数は再び政策で大きく動く。家計の負担を測るには、総合の伸び率だけでなく、エネルギーを除いた指数や、日々買う品目の値動きをあわせて見る必要がある。
脚注
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分」(2026年9月18日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
- 総務省統計局「消費者物価指数の最近の動向」(2026年8月分) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/doukou.pdf
- 日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日) https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260918a.pdf
- 日本銀行「企業物価指数(2026年8月速報)」(2026年9月11日) https://www.boj.or.jp/statistics/pi/cgpi_release/cgpi2608.pdf
- 大和総研「2026年8月全国消費者物価」(2026年9月18日) https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20260918_026079.html
- 首相官邸「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』についての会見」(2026年7月30日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/0730kaiken.html

