「クリアアサヒ」がビールになる 10月27日発売、酒税一本化が商品を変えた

アサヒビールは9月18日、「クリアアサヒ」の規格を新ジャンル(発泡酒②)からビールに変更し、新商品「クリア アサヒ<生>」として10月27日に全国で発売すると発表した[1]。飲食店向けの樽製品は10月6日以降、順次切り替える[1]。

麦芽比率を50%以上に引き上げ

ビールへの変更にあたり、麦芽使用比率を50%未満から50%以上に高めた。製造工程中に発生する劣化物質を抑える独自の鮮度製法を採用し、熱処理をしない生ビールとして販売する[1]。容器は350ミリリットル缶と500ミリリットル缶の2種類で、アルコール分は5%、価格はオープン価格である[1]。

パッケージはブランドを象徴する黄色と白のツートーンと泡のしずくを継承しつつ、缶の中央に「生ビール」と記載し、ビールへの変更を伝える[1]。製造は北海道、福島、茨城、名古屋、吹田、博多の6工場が担う[1]。

10月1日、税率が一本化される

この規格変更の背景は税制である。2017年度の税制改正で決まったビール系飲料の税率一本化は、2020年10月、2023年10月、2026年10月の3段階で実施され、今年10月1日がその最終段階にあたる[2][3]。

350ミリリットル換算の税額は、ビールが63.35円から54.25円へ9.10円の減税、発泡酒と新ジャンルは46.99円から54.25円へ7.26円の増税となり、3区分が同じ税率に並ぶ[3]。つまり、税の安さを理由に麦芽比率を下げて造られてきた新ジャンルは、10月以降その存在理由を失う。アサヒビールが「クリアアサヒ」をビールに格上げしたのは、この一本化に合わせた合理的な判断である。

「第三のビール」という時代の終わり

新ジャンル、いわゆる第三のビールは、税制の段差を利用して低価格帯を作り出した日本独自の商品群だった。麦芽比率を抑え、あるいは原料を工夫することで税負担を軽くし、ビールに近い味わいを安く提供する。技術的にはきわめて精巧な取り組みだったが、その動機の大半は税率の差にあった。段差がなくなれば、商品を分ける意味も薄れる。

消費者にとっての影響は一様ではない。ビールを飲む人には税負担の軽減が働き、第三のビールを選んでいた人には増税が及ぶ。家計の節約先として新ジャンルを選んできた層にとって、10月は実質的な値上げとして体感されるだろう。原材料費や物流費の上昇が続く局面で、税制変更がそこに重なる形になる。

各社は主要ブランドの規格や価格を相次いで見直している。長く続いた「税制対応型の商品開発」が一区切りを迎え、今後は味と品質で選ばれる競争に戻る。ブランド名を残したまま中身を入れ替える「クリア アサヒ<生>」は、その移行期を象徴する商品といえる。飲み慣れた味がどう変わったのか、消費者の評価は発売後に明らかとなる。

脚注

  1. アサヒビール「新『クリア アサヒ<生>』 10月27日発売 新ジャンルからビールへ変更し“クリアな生ビール”を訴求」(PR TIMES、2026年9月18日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001563.000016166.html
  2. 財務省「酒税に関する資料」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm
  3. 辻・本郷税理士法人「2026年にビール系飲料の酒税が統一 〜酒税法改正であなたのお酒代が変わる?」 https://www.ht-tax.or.jp/topics/syuzeikaisei-2026/
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