
2026年度の最低賃金が10月1日から、都道府県ごとに順次引き上げられる。厚生労働省によると、全国加重平均は時給1177円で、前年度から56円上がる[1]。引き上げ額は、目安制度が始まった1978年度以降で2番目の大きさとなる[1]。
最高は東京1280円、最低は宮崎1085円
9月3日までに全ての都道府県で改定額が答申された。引き上げ幅は54円から65円で、最も高いのは東京都の1280円、最も低いのは宮崎県の1085円だ[1]。最高額に対する最低額の比率は84.8%で、前年度の83.4%から縮まった。この比率の改善は12年連続になる[1]。
厚労省の答申状況の資料をもとに、主な地域の改定額をまとめると次の通りだ[2]。
- 東京都 1280円(54円増、10月1日発効)
- 神奈川県 1279円(54円増、10月1日)
- 大阪府 1231円(54円増、10月1日)
- 愛知県 1195円(55円増、10月1日)
- 北海道 1131円(56円増、10月1日)
- 福岡県 1114円(57円増、10月4日)
- 佐賀県 1095円(65円増、11月15日)
- 沖縄県 1086円(63円増、12月2日)
国の審議会が示した目安は、Aランクが54円、B・Cランクが56円だった。47都道府県のうち33都道府県が目安を上回る額を答申している[2]。引き上げ額が最も大きいのは佐賀県の65円で、地方ほど目安に上乗せする傾向がはっきりした。
10月1日に上がるのは15都道府県
新しい最低賃金がいつから適用されるかは、地域によって大きく異なる。10月1日に発効するのは、北海道、宮城、栃木、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、岐阜、愛知、三重、大阪、兵庫、香川の15都道府県だ[2]。そのほかは10月2日以降にずれ込み、京都府は11月16日、岩手県と熊本県は12月1日、沖縄県は12月2日と、年末近くまで分散する[2]。
パートやアルバイトで働く人は、自分の働く都道府県の発効日を確認しておきたい。最低賃金は発効日から適用され、それを下回る時給で働かせることは法律で禁じられている。
最低賃金の発効日の分散が映す中小企業の負担
発効日が遅れる地域が増えているのは、大幅な引き上げに対応する時間を中小企業に与えるためだ。賃金規定の見直しや価格改定には準備が要る。一方で、働く側からみれば、物価高のなかで賃上げの恩恵が数カ月遅れることになる。
フルタイムに近い働き方なら、時給が56円上がると年収ベースで10万円余りの増加になる。ただ、食品や電気代などの値上げが続くなかでは、暮らしが楽になったと実感できるかは分からない。
最低賃金の引き上げを実のあるものにするには、中小企業が人件費の上昇分を取引価格に反映できる環境が欠かせない。賃上げを強く求めるだけでなく、価格転嫁を後押しする取り組みや生産性向上への支援が伴わなければ、雇用の抑制や廃業という形でしわ寄せが及びかねない。引き上げの効果と副作用を、地域ごとに丁寧に検証していく必要がある。
脚注
- 厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75950.html
- 厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」 https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001745621.pdf

