困窮世帯の食費、1人1日500円下回る NGO調査

経済的に困窮して食料支援に申し込んだ世帯の1日1人当たりの平均食費が、500円を下回っていることが分かった。国際NGO「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」が7月30日に公表した調査報告書で明らかになった[1][2]。物価高の下で、十分な食料を買えない世帯の姿が浮かび上がっている。

2人世帯で490円、6人世帯で361円

調査は2026年6月1日から18日にかけて、同NGOの食料支援「子どもの食 応援ボックス」に申し込んだ全国の保護者8736人を対象に、申し込み時のオンラインアンケートで行われ、全員から回答を得た。回答者の94.5%はひとり親世帯である[1]。

経済状況をみると、「借金して生活している」が26.2%、「貯金を取り崩している」が36.9%で、合わせると赤字で暮らす世帯が6割を超える[1]。1日1人当たりの平均食費は、最も高い2人世帯でも490円で、前年の同種調査(2人世帯の食費は月3.2万円、1人1日あたり約533円)から減った。6人世帯では361円まで落ち込んだ。過去1年間に家族が必要とする食料品を買えなかったことが「よくあった」「ときどきあった」「まれにあった」世帯は、合わせて85.5%に上った[1]。

申し込み理由(複数回答)では、89.0%が「物価上昇による食費の値上がりにより、十分な食料を買うお金がない」を挙げた。「長期休暇に入ると、給食がなくなるため食費が心配」が65.1%、「経済的な理由で、親自身の食事量を減らしている」が60.7%と続く[1]。

報告書は、経済的に困難な子育て世帯への公的な経済支援の増額や緊急的な現金給付、公的な食料支援の強化などを提言し、国や自治体などの関係機関が協力して具体的な政策を速やかに進めるよう求めている[1]。報告書は厚生労働省や文部科学省、こども家庭庁などに提出する予定だという[2]。

世帯人数が増えるほど下がる意味

この調査で見落とせないのは、世帯人数が増えるほど1人当たりの食費が下がるという点である。一般に、まとめ買いや共同調理は1人当たりの費用を押し下げる。だが2人世帯の490円に対して6人世帯が361円というのは、その効率化の範囲を超えている。世帯の収入が人数に比例して増えるわけではない以上、人数が増えるほど1人分の取り分が削られるという単純な配分の問題が表れていると読むほうが自然だろう。

もう一つ、「長期休暇に給食がなくなると食費が心配」という回答が3分の2に達した事実も重い。これは、学校給食が制度上の位置づけを超えて、事実上の食のセーフティネットとして機能していることを意味する。給食費の無償化を巡る議論は自治体ごとに進み方が異なるが、この調査結果は、無償化の是非を教育費の問題としてだけ扱うことの限界を示している。

食費は、家賃や光熱費と違って滞納の通知が届かない。だからこそ真っ先に削られ、外からは見えにくい。現金給付は使途を選べる利点がある一方、こうした世帯では他の支払いに回りやすい。給食や食料の現物支給といった手段を、恒常的な仕組みとしてどこまで組み込めるか。物価高が続く局面では、その設計の巧拙が生活の実感を左右する。

脚注

  1. セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「経済的に困難な子育て世帯の子ども1.5万人の『食と生活』実態調査報告書」(2026年7月) https://www.savechildren.or.jp/news/publications/download/report-foodbox2026.pdf
  2. セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(PR TIMES)「経済的に困難な子育て世帯の子ども1.5万人の『食と生活』実態調査 約9割は食費が足りない、1日あたりの食費は1人500円を下回る」(2026年7月30日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000362.000005097.html
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