
総務省は2026年10月9日、情報通信審議会から、固定電話やブロードバンドの「ユニバーサルサービス」制度の見直しに関する三次答申を受けた[1]。ユニバーサルサービスの対象に、携帯電話の電波を使って固定電話を提供する「モバイル網固定電話」を加えるため、制度整備を早期に進めるべきだとした[2]。
ユニバーサルサービスとは、何が変わるのか
ユニバーサルサービスは、国民生活に欠かせない通信サービスを、全国どこでも適切な料金で使えるように確保する仕組みだ。これまで固定電話は主に銅線の「メタル回線」で提供されてきたが、光回線や携帯網を使うサービスへの移行が課題になっている[2]。
2025年の電気通信事業法などの改正では、ほかに提供する事業者がいない場所でも、利用者の求めに応じて最後の担い手としてサービスを提供する「最終保障提供責務」が導入された[2]。今回の答申は、この責務の導入に合わせて制度の細部を詰めたもので、2026年2月の一次答申、3月の二次答申に続く3回目となる[2]。
携帯網を使う固定電話を対象に
モバイル網固定電話は、自宅に置いた専用機器(ターミナルアダプタ)を携帯電話の基地局とつなぎ、固定電話の番号で通話できるサービスだ。答申の概要資料によると、携帯大手3社がすでに提供している[2]。
| 会社 | サービス名 | 月額料金(税込み) |
|---|---|---|
| NTTドコモ | homeでんわ | 1078円〜 |
| KDDI | ホームプラス電話 | 1463円 |
| ソフトバンク | おうちのでんわ | 1078円〜 |
NTT東日本・西日本は、メタル回線からの移行にあたり、携帯会社から卸を受けてこのサービスを提供したいと要望している[2]。今回の答申は、この形も対象から外さず、総務省に早めの制度づくりを促した[2]。
課題の一つは110番や119番などの緊急通報だ。答申のもとになった技術的な検討では、当面は携帯電話の番号と位置情報を通知する現在の仕様で提供を始め、中長期的には住所や固定電話番号、氏名の通知を実現するよう検討を続けるとした[2]。
「提供できる事業者」を確かめる仕組みも
答申は、利用者からサービス提供の求めがあった場所で、どの事業者が提供できるかを判定する「役務提供確認データベース」を構築する方向も妥当だとした[2]。そのうえで、ブロードバンド環境のない利用者からの申し込みも想定し、利用者が手続きで迷ったり、第三者に惑わされたりしないような仕組みを検討すべきだとしている[2]。
電波を使って住宅にインターネット回線を届ける「ワイヤレス固定ブロードバンド(共用型)」をユニバーサルサービスに加えるかどうかは、2027年度以降に具体的な検討を始める[2]。
交付金の仕組みと「ユニバーサルサービス料」
ユニバーサルサービスの赤字を補う交付金の算定方法も見直す。答申は、補填すべきところに重点的に補填する方向で見直すとともに、利用者が負担している「ユニバーサルサービス料」への影響にも配慮するとした[2]。メタル回線の維持費は当面減らないため、現行の算定モデルを調整して対応する[2]。
利用者への説明と省令・ガイドライン
固定電話の利用者には高齢者も多い。電話番号はそのまま使えるのか、停電時や緊急通報はどうなるのかといった点は、暮らしの安心に直結する。制度の切り替えに合わせて、事業者と国がどれだけ分かりやすく説明できるかが問われる。
一方で、携帯網や無線の活用は、光回線を引きにくい山間部や離島でサービスを維持する手段にもなる。品質を守りつつ費用を抑えられれば、利用者が負担するユニバーサルサービス料の抑制にもつながる。総務省がこの答申をもとに、どのような省令やガイドラインを示すかが次の焦点になる。
脚注
- 総務省「『最終保障提供責務の導入等に伴う基礎的電気通信役務制度の在り方』三次答申」(2026年10月9日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban07_02000129.html
- 総務省「最終保障提供責務の導入等に伴う基礎的電気通信役務制度の在り方 三次答申 概要」(2026年10月9日) https://www.soumu.go.jp/main_content/001095736.pdf

