
国土交通省は2026年10月15日、能登半島地震からの復旧・復興の状況と今後の見通し(9月末時点)を公表した[1][2]。災害公営住宅は七尾市と穴水町の2地区で計64戸が完成し、順次入居が始まった[2]。道路では9月18日に、国道249号の逢坂トンネルで一般車の2車線通行が確保された[2]。
能登半島地震の復旧、6月末からの主な進展
国交省は7月に6月末時点の状況をまとめており、今回はその更新版にあたる[1]。3か月間の主な変化は次のとおりだ[2]。
- 住まい:七尾市・穴水町で災害公営住宅計64戸が完成し、入居を開始
- まちづくり:輪島朝市の周辺で土地区画整理事業などが進み、道路工事にも着手。一部の宅地では住宅や店舗の建築工事が進んでいる
- 道路:国道249号沿岸部の逢坂トンネル工区で、9月18日に一般車の2車線通行を確保
- 観光:「いしかわ里山里海サイクリングルート」が7月にナショナルサイクルルートに指定された
災害公営住宅は計画の約2%
自力での再建が難しい被災者向けの災害公営住宅は、10市町で計3061戸を整備する計画で、全戸の用地確保のめどが立っている[2]。工事は輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、中能登町、羽咋市、氷見市の8市町で始まった[2]。
ただ、完成した64戸は計画全体の約2%にあたる。県は市町ごと・地区ごとの入居までの工程表を公表しており、入居時期は地区によって異なる[3]。
自宅を建て直す人向けには、住宅金融支援機構の「災害復興住宅融資」がある。8月末時点の受理件数は450件で、6月末の425件から25件増えた[2]。9月時点の金利は返済期間20年以下で1.45%、21年以上で1.65%だ[2]。
道路・河川・港の本復旧はいつ終わるのか
インフラの本格的な復旧は、なお数年がかりになる。資料に示された完了の目安を整理すると次のようになる[2]。
- 能越自動車道など:のと三井IC〜のと里山空港ICなどの区間は2027年春、残る区間は工事が順調に進めば2029年春の完了を予定
- 国道249号沿岸部(約53km):用地買収などが順調なら2029年春の本復旧完了を予定
- 河川:国が県に代わって進める河川の本格復旧は2028年度末までの完了を目指す
- 水道施設:本復旧は2028年度末までの完了を目指す
- 和倉港:旅館前の護岸(延長790m)は6月25日に完成。主要な係留施設は2026年度末までの本復旧を目指す
県道以上の道路の通行止めは、地震で87か所、2024年9月の豪雨で48か所あったが、2025年度末には計8か所まで減った[2]。
インフラは前進、住まいの再建はこれから
資料からは、道路や河川など「線」のインフラが段階的に戻りつつある一方で、被災者の生活の基盤である住まいの再建は、ようやく入り口に立った段階であることが読み取れる。仮設住宅は、建設型だけで6882戸が2024年12月までに完成している[2]。3061戸の災害公営住宅の大半が完成するまで、多くの世帯が仮住まいを続けることになる。
国交省は、見通しの時期をできるだけ具体的に示すことで、被災地の再生に向けた動きを後押ししたいとしている[2]。完了時期が「2029年春」などと示されたことは、住まいや商売の再建を考える人にとって判断材料になる。
災害公営住宅は冬までにどこまで進むか
住まいの面で鍵を握るのは、災害公営住宅の完成の速さだ。工事は8市町で始まっているが、64戸からどこまで積み上がるかで、仮設住宅での暮らしがどれだけ長引くかが決まる。冬を迎えれば除雪で工事や通行にも影響が出る。
能登は地震と豪雨の二重の被害を受けた。インフラの完了時期を守れるか、そして住まいの再建の見通しをどれだけ早く被災者一人ひとりに示せるかが、今後の復興の速さを左右しそうだ。
脚注
- 国土交通省「令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し(令和8年9月末時点)」報道発表(2026年10月15日) https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo01_hh_000077.html
- 国土交通省「令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し(令和8年9月末時点)」本体資料(2026年10月15日) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002026976.pdf
- 石川県「災害公営住宅の整備について」 https://www.pref.ishikawa.lg.jp/kenju/fukkou_kouei_seibi.html

