中国のパンダ2頭、近く米アトランタへ 習氏が表明

中国の習近平国家主席は2026年9月24日、米ワシントンのホワイトハウスで開かれた歓迎式典で演説し、ジャイアントパンダの「平平(ピンピン)」と「福双(フーシュアン)」が数日後に米南部ジョージア州のアトランタ動物園に入ると明らかにした[1]。中国が貸し出す2頭について、ホワイトハウスも到着を歓迎するとしている[2]。

歓迎式典の演説で表明

中国外務省が公表した演説の全文によると、習氏はパンダを「中米両国人民の友情の使者」と位置づけ、2頭がアトランタで米国の人々と対面するという「よい知らせ」を伝えた[1]。

同じ演説の中で、習氏は今後5年間で米国の青少年10万人を中国に招いて交流・学習の機会を設けるとも表明した[1]。国営新華社通信によると、習氏が2023年11月にサンフランシスコで打ち出した「5年で5万人」の招待は、2年余りで目標に達しており、今回はその倍の規模になる[3]。演説はこのほか、第2次世界大戦で両国が「肩を並べてファシズムの侵略と戦った」歴史にも触れた[1]。

米国と日本、パンダの行き来

パンダは、両国関係の節目にたびたび登場してきた。米国と日本の主な出来事を並べると次のとおりだ。

  • 1972年:米国の国立動物園に「リンリン」と「シンシン」が来園[4]。日本では日中国交正常化を記念して「カンカン」と「ランラン」が10月28日に上野動物園へ[5]
  • 2024年5月:米国立動物園と中国野生動物保護協会が、2034年まで続く新たな共同研究・繁殖の協定を締結[4]
  • 2024年9月29日:上野動物園の「シンシン」(雌)が中国に返還[5]
  • 2026年1月:上野動物園生まれの双子「シャオシャオ」と「レイレイ」が中国に返還[5]

上野動物園では、この1月の返還でパンダが1頭もいなくなった[5]。

パンダに込められた発信

今回の演説で目を引くのは、パンダの話題が、青少年10万人の招待や大戦期の協力の記憶と一続きで語られた点だ。政府間の交渉では関税や輸出管理で厳しい駆け引きが続く一方、首脳の演説では米国の市民に向けて、動物と若者と歴史という、対立とは距離のある話題を並べた。米国内の対中感情を和らげることを意識した組み立てといえる。

もっとも、パンダの貸し出しは研究や繁殖の協定に沿って行われるもので、その時々の関係の良しあしだけで決まるわけではない。日本から見れば、上野にパンダがいない現状と米国への新たな貸し出しが対照的に映るが、そこに政治的な意味を読み込みすぎるのも危うい。日本にとって大切なのは、パンダの行方よりも、中国との対話の回路をどう保つかである。

脚注

  1. 中華人民共和国外交部「习近平在白宫欢迎仪式上的致辞(全文)」(2026年9月24日、中国語) https://www.mfa.gov.cn/zyxw/202609/t20260924_12030964.shtml
  2. The White House "Fact Sheet: President Donald J. Trump Advances a Fair and Reciprocal Relationship with China While Hosting Historic State Visit"(2026年9月、英語) https://www.whitehouse.gov/fact-sheets/2026/09/fact-sheet-president-donald-j-trump-advances-a-fair-and-reciprocal-relationship-with-china-while-hosting-historic-state-visit/
  3. 中国新聞網(新華社配信)「"5年10万",习近平主席向美国青少年发出新邀约」(2026年9月25日、中国語) https://www.chinanews.com.cn/gn/2026/09-25/10703795.shtml
  4. Smithsonian's National Zoo "Giant panda"(英語) https://nationalzoo.si.edu/animals/giant-panda
  5. 東京動物園協会 上野動物園「これまで飼育したパンダたち」 https://www.ueno-panda.jp/history/
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