越前町の返礼品「越前がに」に水ガニ混入 国が措置命令

福井県越前町のふるさと納税返礼品で、地域ブランド「越前がに」と表示した商品に、ブランドとして扱えない「水ガニ」が原材料の半分を超えて使われていたことがわかった[1][2]。農林水産省は9月24日、地理的表示(GI)法に基づき町に措置命令を出した[2]。町は問題の返礼品の掲載を停止した[1]。

ふるさと納税の「越前がに」に何が起きたか

水ガニとは、脱皮した直後で殻が柔らかいズワイガニのことだ[1]。農水省は、水ガニを原材料の過半を超えて混ぜた商品に「越前がに」と表示したことを、GI法が禁じる地理的表示の不正使用と認定した[2]。

町によると、対象は1事業者が提供する2種類の商品に関連する返礼品で、2020年9月から2026年4月までの間に提供されていた[1]。

問題はこれにとどまらない。カニ関連の返礼品を提供する複数の事業者の商品でも、「越前産水がに」「越前紅ずわいがに」のように旧国名の「越前」を冠した、「越前がに」と誤認させるおそれのある表示が見つかった[2]。農水省は、越前町がふるさと納税サイトの「表示責任者」として不正な表示を続けていたと認定した[2]。

半年間、町長に報告なし 越前町の説明

町の説明によると、町は2025年10月に農水省北陸農政局から返礼品について照会を受けていた。それでも問題を認識して掲載を止めたのは、今年4月になってからだった[1]。町は、担当課がGI制度への理解を十分に持たず、水ガニも越前がにの一種だと思い込んでいたと説明している[1]。

町は4月に該当する返礼品の掲載を止め、対象の寄付者には個別におわびの連絡をするとしている[1]。町は24日に公表した文書で、寄付者や事業者、漁業関係者、町民に「多大なご心配とご迷惑をおかけしました」として謝罪した[1]。農水省は町に、表示の点検と不正な表示の除去、原因の究明と分析、再発防止策の実施などを命じた[2]。

10月からは返礼品ルールも厳しく

ふるさと納税の返礼品を巡っては、国のルールも10月から厳しくなる。総務省は2025年6月、返礼品の「地場産品基準」などを見直す告示の改正を公表し、2026年10月からの指定に適用するとした[3]。

見直しでは、区域の外で作られた製品に自治体のロゴなどを付けただけの返礼品について、自治体が実際に広報目的で配布・販売した実績を求める。工業製品などで「区域内で価値の過半が生じた」とする場合は、価格に基づく証明を原則とし、自治体がその内容を公表することも求める[4]。

返礼品の「品質管理」は誰が担うのか

今回の問題は、国が進めてきた地場産品のルールとは別の角度から、ふるさと納税の弱点を浮かび上がらせた。産地や原材料は地元のものでも、表示が正しくなければ寄付者を欺くことになる。自治体は返礼品を選んで紹介する立場にあり、実質的には商品を売る側と変わらない。それにもかかわらず、食品表示やGIといった専門的なルールを確認する体制が整っていなかった。

傷ついたのは寄付者の信頼だけではない。越前がには、地元の漁業者が長年かけて育ててきたブランドだ。返礼品の人気に頼った拡大の陰で、そのブランド価値を損なっては元も子もない。全国の自治体にとっても、返礼品の数や寄付額を競う前に、表示や品質を点検する仕組みを整えることが欠かせない。

脚注

  1. 越前町「越前町ふるさと納税返礼品における地理的表示(GI)に関する不適正な表示について(お詫びとご報告)」(2026年9月24日) https://www.town.echizen.fukui.jp/kurashi/03/01/09/p010237.html
  2. 農林水産省「特定農林水産物等の名称の保護に関する法律に基づく措置命令について」(2026年9月24日) https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/chizai/260924.html
  3. 総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2025年6月24日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000144.html
  4. ふるさとチョイス「【重要】2026年10月の制度変更に伴うお礼の品への影響と再確認のお願い」 https://www.furusato-tax.jp/feature/a/regulatorychanges/2026
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