
気象庁は2026年10月16日12時40分、北海道から中部地方にかけて緊急地震速報(警報)を発表した。実際に起きたのはカムチャツカ半島付近のマグニチュード(M)6.9の地震で、国内で観測した揺れは函館市の震度1だった[1]。気象庁は、速報の処理で地震の規模をM9.9と過大に推定したことが原因だと説明している[1]。
何が起きたか
気象庁の発表をもとに経過をまとめると、次のとおりだ[1][2]。
- 12時38分ごろ:カムチャツカ半島付近を震源とするM6.9(速報値)の地震が発生
- 12時40分:北海道から中部地方を対象に緊急地震速報(警報)を発表
- 観測された揺れ:函館市で震度1
- 14時:気象庁が、警報は震源を千島列島と決め、規模をM9.9と過大に推定したことによるものだと発表
気象庁の緊急地震速報の発表状況を示すページでは、この速報の震源は千島列島、深さ140キロ、規模はM9.9と記録されている[2]。過大になった原因について気象庁は「現在調査中」とし、判明しだい公表するとしている[1]。
政府は12時41分、首相の指示として、被害状況の早急な把握や、避難・被害に関する情報の適時の提供などを関係省庁に求めた[3]。
緊急地震速報の過大な推定は広域の警報に
緊急地震速報は、震源に近い観測点で最初の揺れをとらえ、強い揺れが届く前に震源と規模を推定して知らせる仕組みだ。数秒単位で計算するため、限られたデータから推定することになる。
今回は、推定された規模(M9.9)と実際の規模(M6.9)の差が3もあった。マグニチュードは1大きくなるとエネルギーが約32倍になるため、3の差はエネルギーにして約3万倍に相当する。規模を大きく見積もれば、遠くの地域でも強く揺れると予想され、広い範囲に警報が出ることになる。
実際の地震で気象庁が国内で観測した最大の揺れは函館市の震度1で、警報の対象地域の多くでは揺れを感じなかったとみられる[1]。
原因の説明と速報への信頼
緊急地震速報は、テレビやラジオ、携帯電話を通じて一斉に流れる。結果的に揺れが小さくても、多くの人が身構え、交通機関や工場などが一時的に止まることもある。だからこそ、気象庁が原因を具体的に示し、同じ状況で過大な推定を防ぐ手立てを説明することが大切になる。
一方で、速報が外れることを恐れて発表をためらえば、本当に大きな地震のときに間に合わない。速さと正確さの両立は難しい課題で、今回の原因の検証は、制度への信頼を保つための材料になる。
脚注
- 気象庁「令和8年10月16日12時40分に発表した緊急地震速報(警報)について」(2026年10月16日14時00分) https://www.jma.go.jp/jma/press/2610/16b/kaisetsu202610161400.pdf
- 気象庁「緊急地震速報(予報)発表状況」(2026年10月16日12時36分発生分) https://www.data.jma.go.jp/eew/data/nc/fc_hist/2026/10/20261016123810/index.html
- 首相官邸「カムチャツカ半島を震源とする地震に関する総理指示(12:41)」(2026年10月16日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/discourse/20261016shiji.html

