
政府は2026年10月16日の閣議で、日バングラデシュEPA(経済連携協定)の締結について国会の承認を求めることを決めた[1]。協定は2月6日に署名されており、開会中の臨時国会で承認されれば、発効に向けた手続きが進む。
日バングラデシュEPAの内容
経済産業省によると、日本からの輸出品のうち、バングラデシュ側で高い関税が課されてきた多くの品目で関税がなくなる。鉄鋼や自動車部品、電子部品、織物などが含まれる[2]。関税のほか、次のような分野でルールを整える[2]。
- 投資
- サービス貿易
- 電子商取引
- 知的財産
- 税関手続と貿易円滑化
同省は、こうしたルールの整備によって、日本企業がバングラデシュで円滑に事業を進められることが期待できるとしている[2]。
交渉開始から2年半で国会へ
両国は2024年3月に交渉の開始を決め、2025年12月に大筋で合意した[3]。署名は2026年2月6日に東京で、日本側は堀井巌外務副大臣、バングラデシュ側は暫定政権のボシール商業担当顧問が行った[2]。
EPAのような条約は、国会の承認を経て締結される。閣議決定はその手続きの入り口で、承認後に両国が国内手続きの完了を通知し合うことで発効する。
LDC卒業を目前に控えるバングラデシュ
協定の意味を考えるうえで欠かせないのが、バングラデシュの国連「後発開発途上国(LDC)」からの卒業だ。国連によると、同国は2026年11月24日に卒業する予定になっている[4]。LDCは所得や人的資源などの基準で国連が認定する最貧国の区分で、卒業は経済成長の証しでもある。
一方、LDCに認められてきた先進国市場への関税優遇は、卒業後に段階的に失われる可能性がある。バングラデシュにとって、日本との協定は輸出の条件を安定させる手段になる。日本企業にとっては、高い関税が課されてきた鉄鋼や自動車部品などを売り込みやすくなる。
人口が多く、縫製業を中心に成長してきたバングラデシュは、日本企業にとって生産拠点と消費市場の両面で関心の高い国だ。今回の協定は、両国の経済関係に初めて包括的なルールの枠組みを与えることになる。
LDC卒業と発効の時期のずれ
両国の企業にとって実務上の焦点になるのは、LDC卒業の時期と協定の発効時期がどの程度ずれるかだ。
また、協定の署名はバングラデシュの暫定政権の下で行われた[2]。相手国側の手続きも含めて発効まで順調に進むかどうか、政府には国会審議の場で見通しを丁寧に説明することが求められる。
脚注
- 首相官邸「令和8年10月16日(金)定例閣議案件」 https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2026/kakugi-2026101601.html
- 経済産業省「日・バングラデシュ経済連携協定(EPA)への署名が行われました」(2026年2月6日) https://www.meti.go.jp/press/2025/02/20260206003/20260206003.html
- 経済産業省「日・バングラデシュ経済連携協定(EPA)」 https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/epa/bd/index.html
- 国連 後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表事務所(UN-OHRLLS)「LDC Category」 https://www.un.org/ohrlls/content/ldc-category

