
三菱自動車は9月2日、クロスカントリーSUV「パジェロ」を約20年ぶりにフルモデルチェンジし、5代目となる新型を世界初公開した[1]。同社の新たなフラッグシップと位置づけられ、2026年度中に生産拠点のタイを皮切りに日本、オーストラリアへ投入される[1]。
いったん幕を下ろした看板車種
パジェロは1982年に初代が登場した本格クロスカントリー4WDで、初代から4代目までの累計生産台数は329万台を超え、170以上の国と地域で販売されてきた[1]。しかし国内向けは2019年、海外向けも2021年に生産を終了し、一度は歴史に幕を下ろしていた[2]。
新型のデザインコンセプトは「グランドカリスマ-泰然自若-」。ボディサイズは全長4920ミリ×全幅1925ミリ×全高1910ミリ、ホイールベース2870ミリで、最低地上高は230ミリを確保する[2]。パワートレインは専用開発の直列4気筒2.4リッター・クリーンディーゼルターボ(最高出力150キロワット/204馬力、最大トルク480ニュートンメートル)に、新開発の8速ATを組み合わせた[2]。
国内では10月29日に正式発表し、12月17日に発売される予定と報じられている[3]。価格は未公表だが、自動車専門誌は600万〜700万円台が中心になるとの見方を示している[3]。次年度以降はアセアン、中南米、中東など世界約100カ国へ順次広げる計画だ[1]。
電動化の時代に、なぜディーゼルの本格クロカンか
電動化が進むなかで、ラダーフレーム系の大型ディーゼルSUVを旗艦に据える判断は逆張りに見える。ただ、三菱自動車の収益の軸足は東南アジアとオセアニアにあり、舗装の整わない道や長距離移動、けん引需要が現実に残る市場だ。そこでは航続距離と補修のしやすさが説得力を持つ。バッテリー電気自動車の価格競争で中国勢と正面からぶつかるより、勝てる土俵を選び直したと読むべきだろう。
気がかりなのは、その土俵が日本国内とどこまで重なるかである。国内のSUV需要は都市型に寄っており、全高1910ミリの車体は立体駐車場を選ぶ。600万円台という想定価格帯も、輸入SUVと真正面で競合する。国内での役割は台数よりブランドの再定義にある、と見るのが妥当だ。
一度畳んだ看板を掲げ直すのは、商品企画としては重い賭けである。初代の面影を残す意匠は、その覚悟の表明でもあるのだろう。評価が定まるのは、世界約100カ国での耐久性と補修網が実地で試されたあとになる。
脚注
- 三菱自動車工業「三菱自動車、新型クロスカントリーSUV『パジェロ』を世界初披露」(2026年9月2日) https://www.mitsubishi-motors.com/jp/newsroom/newsrelease/2026/20260902_1.html
- Car Watch「三菱自動車、新型『パジェロ』世界初公開」(2026年9月2日) https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/2137452.html
- ベストカーWeb「新型パジェロ本日初披露、10月29日正式発表、12月17日発売!!」(2026年9月) https://bestcarweb.jp/newcar/1622821

