全国地域安全運動が11日から 詐欺被害は2360億円

2026年の全国地域安全運動が、10月11日から20日までの10日間、全国で行われる[1]。全国地域安全運動は警察庁や全国防犯協会連合会、都道府県警察などが主催し、今年は特殊詐欺の被害防止を全国重点の筆頭に掲げた[1]。初日の10月11日は、政府が定めた「安全・安心なまちづくりの日」でもある[1]。

全国地域安全運動、3つの全国重点

警察庁の発表によると、今年の全国重点は次の3つだ[1]。

  • 特殊詐欺の被害防止:国際電話の利用休止を促す「#みんとめ」運動、警察庁推奨アプリの普及、実効性のある広報
  • 地域防犯力の強化:犯罪の下見への警戒、多様な担い手による見守り、防犯教育、防犯カメラなどの整備
  • 犯罪に加担させない対策:少年への啓発、犯罪の実行役募集に応募した人への呼びかけ、募集情報の流通防止

このほか、各都道府県警察が地域の犯罪情勢や住民の要望を踏まえて、独自の重点を選ぶ[1]。東京の警視庁は、各警察署が地域ごとに重点を指定し、期間中の10月17日には防犯イベントも予定している[2]。

詐欺被害は8月末で2360億円、前年より588億円増

重点の筆頭に特殊詐欺が置かれた背景には、被害の拡大がある。警察庁が10月2日に公表した暫定値によると、SNS型投資・ロマンス詐欺を含む詐欺の認知件数は8月末までに2万9687件、被害額は2360億7000万円に上り、前年同期より件数で3732件、金額で588億4000万円増えた[3]。

手口別の被害額は次のとおりだ[3]。

手口 被害額(1〜8月) 前年同期比
SNS型投資詐欺 937.4億円 +53.8%
ニセ警察詐欺 728.6億円 +27.0%
SNS型ロマンス詐欺 325.8億円 +0.8%
オレオレ詐欺 104.2億円 +19.3%
架空料金請求詐欺 97.5億円 +16.0%

SNS型投資詐欺とニセ警察詐欺の2つで、被害額全体の約7割を占める計算になる。警察官を名乗って電話をかけ、捜査を装って金をだまし取るニセ警察詐欺は、件数は前年より4%減ったものの、被害額は27%増えており、1件あたりの被害が大きくなっている[3]。

なぜ「国際電話の休止」なのか

運動が国際電話の利用休止を前面に出したのは、詐欺の電話が海外の番号からかかってくるケースへの対策だ。ふだん国際電話を使わない家庭が、あらかじめ発着信を止めておけば、海外からの詐欺電話を受けずにすむ。警察庁は推奨アプリの普及も重点に挙げており、電話やスマートフォンの設定で被害の入り口を断つことに力を入れている[1]。

「犯罪に加担させない対策」も3本柱の一つだ。SNSなどで高額報酬をうたって実行役を募る、いわゆる「闇バイト」に応募した人への呼びかけや、募集情報の流通を防ぐ取り組みを進める[1]。詐欺の被害を減らすには、だます側の人手を断つことも欠かせない。

働く世代への啓発と具体的な行動

被害額の内訳を見ると、高齢者を狙う従来型の電話詐欺に加え、SNSを入り口にした投資詐欺が最大の被害源になっている。電話の対策だけでは届かない世代や手口が広がっており、啓発の対象も高齢者に限らず働く世代まで広げる必要がある。

地域の見守りや防犯カメラの整備は、すぐに数字に表れる対策ではない。10日間の運動をきっかけに、家族や近所での声かけ、電話やアプリの設定の見直しといった具体的な行動がどこまで広がるかが、年末に向けた被害の動向を左右しそうだ。

脚注

  1. 警察庁「令和8年全国地域安全運動等の実施について」(2026年9月17日) https://www.npa.go.jp/news/release/2026/20260917.pdf
  2. 警視庁「全国地域安全運動」 https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/anzen/anzen_undo.html
  3. 警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(2026年10月2日) https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/261002/01.html
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