
計量の国際ルールを決める国際度量衡総会(CGPM)は2026年10月13〜15日に開いた第28回会合で、うるう秒を2027年5月20日で廃止する決議を採択した[1][2]。世界の標準時である協定世界時(UTC)と、地球の自転に基づく時刻とのずれは、最大1時間まで認める。
うるう秒廃止の決議の中身
国際度量衡局(BIPM)が公表した決議(第5号)は、次の2点を決めた[1]。
- 途切れない(調整の入らない)UTCを2027年5月20日から適用する
- 地球の自転に基づく時刻(UT1)とUTCの差の上限を3600秒(1時間)とし、UTCの連続性を数世紀にわたって保つ
現在のルールでは、UTCとUT1の差を0.9秒以内に収めるため、必要に応じて1秒を足したり引いたりしている。決議は、2022年の前回会合で「2035年までに差の上限を引き上げる」と決めた方針を、前倒しして具体化したものだ[1]。
なぜ廃止するのか
決議は理由として、1秒を削る「負のうるう秒」の危険を挙げた。地球の自転の専門家を交えた2025年の検討会では、負のうるう秒が必要になる確率が今後急速に高まり、2035年までに30%に達すると見積もられた[1]。
負のうるう秒はこれまで一度も実施されたことがない。決議は、準備の整っていない重要インフラで異常や障害を起こす危険が高く、備えに要る投資は2000年問題への対応に匹敵すると指摘した[1]。うるう秒の挿入時に、大手のサービス事業者がそれぞれ独自の方法で時刻を少しずつずらして対応してきたため、システム間で時刻が食い違う問題も挙げている[1]。
日本では2017年が最後に
日本の標準時を管理する情報通信研究機構(NICT)によると、うるう秒は制度が始まった1972年以降27回入り、最後は日本時間2017年1月1日午前9時の直前に「8時59分60秒」が挿入された[3]。その結果、UTCは原子時計の時刻である国際原子時より37秒遅れている。2027年1月1日の挿入も予定されていない[3]。決議が発効すれば、2017年の挿入が最後になる。
1時間のずれに達するのは遠い先
うるう秒がなくなると、時計の時刻と太陽の動きはわずかずつずれていく。ただ、これまで55年ほどで調整した量は合計27秒で、1時間(3600秒)の上限に達するのはずっと先になる。決議も、上限を1時間にすることで数世紀にわたってUTCが途切れないとしている[1]。
暮らしへの影響はほとんどない。一方、時刻を厳密に扱う通信や金融、衛星測位などのシステムにとっては、数年に一度の特別な対応が要らなくなる。ラジオ電波などで時刻の差を伝える仕組みについては、国際電気通信連合が2035年(遅くとも2040年)までの移行期間を設けている[1]。
遠い将来の「1時間」と当面の周知
うるう秒の廃止は、天文学に基づく時刻と、原子時計に基づく時刻の関係を大きく変える決定だ。1秒の調整を何十年も続けるより、上限を大きく取って当面の調整をなくすほうが、社会全体の負担は小さいだろう。
ただし、ずれが積み重なった遠い将来に、1時間分をどう調整するかは決まっていない。決議は国際度量衡局に、地球の自転の観測を続け、関係機関と協力して利用者への周知を進めるよう求めている[1]。2027年5月の切り替えに向けて、NICTなど各国の機関がどう対応を知らせるかが当面の焦点になる。
脚注
- 国際度量衡局(BIPM)「Resolution 5 (2026)」(第28回国際度量衡総会) https://www.bipm.org/en/cgpm-2026/resolution-5
- 国際度量衡局(BIPM)「28th meeting of the CGPM (2026)」 https://www.bipm.org/en/cgpm-2026
- 情報通信研究機構(NICT)日本標準時グループ「うるう秒実施日一覧」 https://jjy.nict.go.jp/QandA/data/leapsec.html

