エヌビディア、23兆円の自社株買い追加

米半導体大手のエヌビディアは9月28日、取締役会が自社株買いの枠を1500億ドル(約23兆円)追加で承認したと発表した[1]。同社は、自社株買いの枠の追加額として史上最大だとしている[1]。これにより、残りの枠は合わせて2350億ドルとなり、2028会計年度中に実行する見込みだ[1]。

アップルの1100億ドルを上回る

大型の自社株買いとしては、アップルが2024年5月に1100億ドルの追加を承認したことが知られる[3]。今回のエヌビディアの追加分はそれを大きく上回る。

ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は発表で、同社の成長がAIと計算処理の高速化という「一世代に一度のプラットフォームの転換」に支えられていると指摘した。そのうえで、現金を生み出す力によって、この転換を進める技術への投資と株主への還元の両方が可能になるとし、今回の承認は長期的な成長機会への自信の表れだと説明した[1]。

エヌビディア、AI需要で膨らむ現金

巨額の還元を支えるのは、AI向け半導体の圧倒的な稼ぐ力だ。2026年5〜7月期(2027会計年度第2四半期)の売上高は962億ドルで、前年同期の2倍強(106%増)だった[2]。粗利益率は75.0%に達し、8〜10月期の売上高は1080億ドル(上下2%の幅)を見込む[2]。5〜7月期には、自社株買いと配当で約260億ドルを株主に還元しており、期末時点の自社株買いの残り枠は約990億ドルだった[2]。

8月の決算発表の前には、売上高よりも粗利益率の動向が市場の焦点になっていた。高い利益率を保ったまま売上高が伸び続けていることが、今回の発表の土台になっている。

還元の規模が映す「次の一手」

自社株買いは、市場に出回る株数を減らし、1株あたりの利益を押し上げる効果がある。株主にとっては歓迎すべき材料だ。企業が自社株を買うのは、一般に株価が本来の価値より低いと考えるときでもあり、今回の決定には経営陣のそうした見方もにじむ。一方で、稼いだ現金を新たな投資ではなく株主に戻すのは、成長の機会に比べて資金が余っていることの裏返しでもある。

エヌビディアはAIの基盤となる半導体で高いシェアを持つが、大手IT企業による自社開発の半導体や、各国の規制・輸出管理の動きなど、先行きには不確かさも残る。同社は8〜10月期の見通しに、中国向けのデータセンター用演算製品の売上高を織り込んでいない[2]。2350億ドルという還元の規模は、同社が今の稼ぐ力が当面続くと見ていることの表れだろう。市場がその見立てにどこまで乗るのかが、今後の株価の行方を左右しそうだ。

脚注

  1. NVIDIA "NVIDIA Announces a $150 Billion Share Repurchase Authorization Increase"(2026年9月28日) https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-a-150-billion-share-repurchase-authorization-increase
  2. NVIDIA "NVIDIA Announces Financial Results for Second Quarter Fiscal 2027"(2026年8月26日) https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-financial-results-for-second-quarter-fiscal-2027
  3. Apple "Apple reports second quarter results"(2024年5月2日) https://www.apple.com/newsroom/2024/05/apple-reports-second-quarter-results/
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