
国土交通省は2026年10月9日、2026年度の「主要建設資材需要見通し」を公表した[1]。建設資材の需要は、セメントが前年度比1.5%増の3100万トン、生コンクリートが1.2%増の6100万立方メートル、普通鋼鋼材が1.1%増の1570万トンと、5資材のうち3資材で前年度を上回る見通しとなった[1]。
2026年度の建設資材需要、5資材の見通し
見通しは、建設資材を安定して確保し、建設事業を円滑に進めるために、国交省が毎年まとめている[1]。2026年度の数字と、2025年度の実績は次のとおりだ[2]。
| 資材 | 2025年度実績 | 2026年度見通し | 前年度比 |
|---|---|---|---|
| セメント | 3053万トン(6.5%減) | 3100万トン | +1.5% |
| 生コンクリート | 6028万立方メートル(8.2%減) | 6100万立方メートル | +1.2% |
| 木材 | 775万立方メートル(3.5%増) | 775万立方メートル | ±0.0% |
| 普通鋼鋼材 | 1553万トン(0.8%減) | 1570万トン | +1.1% |
| アスファルト | 77万トン(8.3%減) | 75万トン | -2.6% |
鋼材のうち建物の骨組みに使う形鋼は3.3%増の340万トン、鉄筋に使う小形棒鋼は0.4%増の560万トンと見込む[2]。今年度から対象資材を見直し、砕石は掲載をやめた[2]。
前年度の大幅減からの「小幅な持ち直し」
数字を前年度と並べると、今回の増加は回復というより下げ止まりに近い。2025年度はセメントが6.5%減、生コンクリートが8.2%減と大きく落ち込んだ[2]。2026年度の見通しはこれを1%台取り戻すにとどまり、2024年度の水準(セメント3266万トン、生コン6569万立方メートル)には届かない[2]。
道路の舗装に使うアスファルトは2年続けて減る見通しで、2024年度の84万トンから75万トンまで縮む[2]。
建設投資は名目2.9%増、量との差が示すもの
需要見通しは、国交省が8月31日に公表した「2026年度建設投資見通し」の工事ごとの投資額(実質値)に、工事費100万円あたりの資材使用量をかけ、実績を加味して推計している[2]。
その建設投資見通しによると、2026年度の建設投資は名目で81兆4700億円と、前年度から2.9%増える[3]。中でも工場やオフィスなど民間の非住宅建設は6.6%増と伸びが大きい[3]。一方で、資材の量の伸びは1%前後にとどまる。投資額が名目で増えても、使われる資材の量はそれほど増えていないことになる。
長い目で見ると、差はさらにはっきりする。国交省の統計表によると、1995年度のセメント需要は8038万トンだった[2]。2026年度の見通しはその4割弱の水準だ。近年は人件費や資材価格の上昇で、同じ量の工事でも金額がかさむようになっており、名目の投資額だけでは現場の活動量をつかみにくくなっている。
「量」は横ばい、「金額」は膨らむ
今回の見通しからは、建設現場の「量」はおおむね横ばいのまま、物価の上昇で「金額」が膨らむという構図が読み取れる。資材メーカーにとっては、数量の大きな回復が見込みにくい中で、価格の改定と生産体制の見直しが課題になる。
見通しの前提には、民間の工場・倉庫の建設や、災害からの復旧工事といった需要がある。人手不足で工事が予定どおり進まなければ、資材の需要も見通しを下回る可能性がある。資材の量と建設投資の金額の差がどう動くかは、建設業の実際の活動量を測る手がかりとして注目に値する。
脚注
- 国土交通省「本年度の主要建設資材需要見通しはセメント、生コンクリート、普通鋼鋼材にて増加」(2026年10月9日) https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00378.html
- 国土交通省「令和8年度 主要建設資材需要見通し」(別添資料、2026年10月9日) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002026112.pdf
- 国土交通省「令和8年度(2026年度)建設投資見通し 概要」 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/002018692.pdf

