
米メタ(旧フェイスブック)は9月28日、AIエージェント「Muse(ミューズ)」を軸にした企業向けの新サービス「Meta Enterprise Platform」を発表した[2]。翌29日には、中小企業向けのMuseの提供も始めた[4]。広告事業で稼いできたメタが、企業にAIを売る事業へ本格的に乗り出す。
メタのAIエージェント「Muse」とは
Museは、メタが9月8日に個人向けに提供を始めたAIエージェントだ。質問に答えるだけでなく、メールの送信や旅行の予約、書類の記入などの作業を利用者に代わってこなす。アプリを閉じている間も動き続け、利用者の好みを覚えて提案もする。
メタは、自社で最も高性能なモデル「Muse Spark」が動かしていると説明している[1]。まず米国で、iPhoneとAndroid端末、ウェブ向けに提供を始めた[1]。
企業向け基盤は4つのサービスで構成
メタによると、企業向けの基盤ではまず、次の4つを中心に自社の技術を企業や開発者に提供する[2]。
- Muse:作業を代行するAIエージェント
- Meta Business Agent:顧客との会話や商品の提案、予約の受け付け、見込み客の選別などを担う[3]
- Muse API:開発者がメタのAI技術を自社のサービスに組み込むための仕組み
- Muse Code:プログラムを書く開発者向けのエージェント
メタは2026年6月、Business AgentをWhatsAppやMessengerで使う企業が100万社を超えたと明らかにしていた[3]。事業を率いるのは、データベース大手の米MongoDB(モンゴDB)でCEOを務めたチランタン(CJ)・デサイ氏で、ザッカーバーグCEOの直属となる[2]。
中小企業向けMuseは外部サービスと連携
29日に始めた中小企業向けのMuseは、事業主が日々の業務を回したり、新しい顧客を見つけたりするのを手助けする。Instagramのプロ向け分析やFacebookのページ、メタの広告アカウントの情報を扱えるほか、Shopify、Slack、Canva、Stripe、Zoom、Notionなど多くの外部サービスとつなげられる[4]。ほとんどの用途は無料で使え、より多く使いたい人向けに有料プランも用意した[4]。
一方、9月28日の発表では、企業向け基盤全体の料金や最初の導入企業、4つのサービスをどう組み合わせて提供するのかには触れていない[2]。
広告頼みからの脱却を目指すメタ
メタの収益の大半は、FacebookやInstagramに載せる広告から得ている。AIの開発に巨額の資金を投じるなか、広告以外の稼ぎ口を育てることは長年の課題だった。
企業向けのAIでは、マイクロソフトやグーグル、セールスフォースなどが先行し、OpenAIやアンソロピックも企業への売り込みを強めている。メタの強みは、世界の数多くの企業がすでに同社のアプリで客とやり取りし、広告を出していることだ。その接点にAIエージェントを組み込めば、中小企業にとって導入の手間は小さい。
ただ、企業が業務をAIに任せるには、データの扱いへの信頼が欠かせない。メタは過去に利用者データの扱いで批判を浴びてきた。企業の顧客情報や売り上げのデータを預けてもらえるだけの安全性と透明性を示せるか。料金体系とあわせ、それが普及のかぎを握る。
個人向けから企業向けへ、わずか3週間で広げたスピードは、AIエージェントをめぐる競争の激しさを物語っている。
脚注
- Meta "Introducing Muse: The World's First Personal AI Agent Built for Everyone"(2026年9月8日) https://about.fb.com/news/2026/09/introducing-muse-personal-ai-agent/
- Meta "Launching Meta Enterprise Platform"(2026年9月28日) https://about.fb.com/news/2026/09/launching-meta-enterprise-platform/
- Meta "Be There for Every Customer With Meta Business Agent"(2026年6月3日) https://about.fb.com/news/2026/06/meta-business-agent/
- Meta "The Future Is for Everyone: Muse for Small Business"(2026年9月29日) https://about.fb.com/news/2026/09/introducing-muse-small-business/

