
今季のサンマ漁が低調だ。漁業情報サービスセンター(JAFIC)が9月29日に公表した漁況予報によると、9月中旬の道東海域への来遊量は前年を下回る低位水準で、魚体も前年より小さかった[1]。夏に出された予報でも日本近海への来遊量は前年を下回るとされ、資源量は調査開始以来の最低だった[2][3]。秋の味覚は再び遠い存在になりつつある。
サンマの来遊量、道東で前年下回る
JAFICによると、9月中旬の主な漁場は道東海域より東から南東側の公海だった。大型船の1日1隻あたりの漁獲は最高で15トン程度と9月上旬より減り、前年より少なかった。1網あたりの漁獲量も前年を下回った[1]。9月上旬には大型船で最高36トン程度とっていたが、それも前年を下回る水準だった[4]。
公海の漁場でとれたサンマは体長26〜32センチ、体重70〜140グラム台が中心で、前年より小さかった[1]。水揚げ日本一の北海道根室市の花咲港では、9月8日に今季初めて500トンを超える約520トンが水揚げされたが、1匹の平均は約110グラムと小ぶりだった。競りの最高値は1キロあたり1026円だった[5]。
来遊量は「過去最低」の予報 魚体も小型に
不漁は夏の時点で予想されていた。水産庁と水産研究・教育機構が7月28日に発表した長期漁海況予報は、漁期を通じた来遊量が「昨年の水準を下回る」とし、1歳魚の体重も昨年を下回るとした[2]。
予報によると、日本漁船の漁獲対象となる経度180度より西の海域の推定分布量は42万9千トンで、去年の109万9千トンから約61%減り、調査を始めた2003年以降で最低だった(比較できる推定ができなかった2020年を除く)[3]。
漁場も遠い。予報では、8〜9月は北海道からウルップ島の東方沖にかけての公海に小規模な魚群が来る程度とされた[2]。漁場が遠くなれば燃料代などのコストがかさみ、価格の上昇にもつながりやすい。
去年の回復は一時的だったのか
全国さんま棒受網漁業協同組合の統計によると、サンマの年間水揚げ量は2015年に11万トンを超えていたが、2022年には1万7910トンまで落ち込んだ。その後は持ち直し、2025年は6万4738トンと3年で3倍以上に回復していた[6]。
ただ、今年の推定分布量が去年から6割も減ったことを考えると、去年の回復は資源そのものが立ち直ったというより、海の条件が日本に有利に働いた面が大きかった可能性がある。今季の低調は、去年の豊漁が一時的だったことを示しているのかもしれない。
資源管理と食卓への影響
サンマは日本だけでなく、北太平洋の公海で各国・地域の漁船がとる国際的な資源だ。水産資源学者の勝川俊雄氏は、今年の予報を受け、サンマに限らず複数の魚種で資源の減少が目立つとして、漁獲にブレーキをかけるべき段階に入ったと自身のサイトで指摘している[7]。
消費者にとっては、店頭の価格や大きさが気になるところだ。ただ、豊漁か不漁かに一喜一憂するだけでは、長い目で見た資源の回復にはつながらない。少ない年ほど、とりすぎないルールを各国が守れるかどうかが問われる。サンマを将来も秋の食卓に残せるかは、今年のような不漁の年の対応にかかっている。
脚注
- 漁業情報サービスセンター「2026年度第3回サンマ中短期漁況予報」(2026年9月29日) https://www.jafic.or.jp/notice/gyokyo/sanma20260929.pdf
- 水産庁「サンマの長期漁海況予報が発表されました」(2026年7月28日) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/260728.html
- 水産研究・教育機構「令和8年度サンマ長期漁海況予報」(2026年7月28日) https://www.fra.go.jp/shigen/fisheries_resources/forecast/files/sanma20260728.pdf
- 漁業情報サービスセンター「2026年度第2回サンマ中短期漁況予報」(2026年9月18日) https://www.jafic.or.jp/notice/gyokyo/sanma20260918.pdf
- UHB北海道文化放送「サンマ大漁!花咲港で“500トン超”の水揚げは今季初」(2026年9月8日) https://www.uhb.jp/news/single.html?id=62004
- 全国さんま棒受網漁業協同組合「さんまの水揚量(年)」 http://www.samma.jp/tokei/catch_year.html
- 勝川俊雄公式サイト「今年のサンマはさらに少なく、小さい――2026年の予報は「過去最低」」(2026年7月) https://katukawa.com/?p=6399

