酒税、10月1日にビール系一本化 ビール各社が競争激化

10月1日の酒税改正で、ビール、発泡酒、第三のビール(新ジャンル)の税率が一本化される。350ミリリットル缶あたりの税額はビールが約9円下がり、発泡酒と第三のビールは約7円上がる[1]。価格差が縮まり、ビールへの需要回帰が見込まれることから、ビール大手4社は第三のビールの看板商品を相次いでビールに切り替えている[4][5][6][7]。

酒税の一本化で税額はこう変わる

350ミリリットル缶あたりの酒税は、次のように変わる[1][2]。

  • ビール:63.35円 → 54.25円(9.10円の減税)
  • 発泡酒(麦芽比率25%未満)・第三のビール:46.99円 → 54.25円(7.26円の増税)

今回の改正は、2017年度の税制改正で決まった見直しの最終段階にあたる。ビール系の税率は2020年10月、2023年10月と段階的に近づけられてきた。財務省は、よく似たお酒の間の税率の差が商品開発や販売数量に影響している状況を改め、税負担の公平性を取り戻すことを目的に挙げ、全体の税収は変えない形で見直すとしている[1]。

同じ10月には、チューハイなど「その他の発泡性酒類」の税額も、350ミリリットルあたり28円から35円に上がる[3]。

「金麦」「本麒麟」「クリアアサヒ」がビールに

一本化をにらみ、大手各社は第三のビールの看板商品をビールに切り替える[4][5][6][7]。

  • サントリー:「金麦」シリーズを10月以降、麦芽比率を引き上げてビールとして発売[4]
  • キリンビール:「本麒麟」を麦100%の生ビールに変え、11月4日に発売。主力の「一番搾り生ビール」も8月製造分から味を刷新した[5]
  • アサヒビール:「クリアアサヒ」を「クリア アサヒ〈生〉」としてビールに変更し、10月27日に発売[6]
  • サッポロビール:「麦とホップ」と「GOLD STAR」を第三のビールからビールへ品目変更[7]

節税型の商品開発に幕

日本のビール市場は長く、税率の差が商品の形を決めてきた。税率の高いビールに対し、麦芽の比率を下げた発泡酒、麦芽以外の原料を使う第三のビールが生まれ、価格の安さを武器に売り上げを伸ばした。各社は税率の区分をにらんで原料や製法を工夫し、国はそのたびに税率を見直す。そんな「いたちごっこ」が続いてきた。

税率が一本化されれば、原料の違いで税額に差がつくことはなくなる。第三のビールの看板商品が各社そろってビールに衣替えするのは、その象徴だ。各社にとって、税の区分に合わせた商品づくりに割いてきた開発力を、味やブランドの磨き上げに向けられるという意味は大きい。

家計には「安いビール」と「高い第三のビール」

消費者にとっては、ふだん飲むお酒によって影響が分かれる。ビールを飲む人には減税分の値下がりが期待できる一方、価格の安さで発泡酒や第三のビールを選んできた人には値上がりとなる。物価高が続く中、節約のために第三のビールを選んできた家庭ほど負担が増える構図だ。

価格差が縮まっても、ビールがなお割高であることに変わりはない。各社がビールへの回帰を見込むのは、同じような値段ならより満足感のある一杯を選ぶ消費者が増えるとの読みからだ。ただ、若い世代を中心にお酒を飲む人は減っており、市場全体が縮むなかでの奪い合いでもある。一本化はビール市場を活気づけるきっかけになりうるが、決め手になるのは税率ではなく、選ばれるだけの味と価値を示せるかどうかだろう。

脚注

  1. 財務省「酒税に関する資料」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d08.htm
  2. 辻・本郷 税理士法人「2026年にビール系飲料の酒税が統一 ~酒税法改正であなたのお酒代が変わる?」 https://www.ht-tax.or.jp/topics/syuzeikaisei-2026/
  3. 新宿間税会「酒税の税率と2026年10月改正:ビール系の一本化・チューハイ引上げ・手持品課税の申告」 https://shinjuku-kanzeikai.jp/tax-qa/indirect-tax/liquor-tax.html
  4. グルメ Watch「サントリー、『金麦』シリーズを2026年10月以降にビール化」(2025年9月29日) https://gourmet.watch.impress.co.jp/docs/news/2050773.html
  5. キリンビール(PR TIMES)「本格ビールの『本麒麟』、誕生 『本格的なうまさ』を追求し、麦100%生ビールへ進化してリニューアル発売」(2026年5月27日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001524.000073077.html
  6. アサヒビール「『クリア アサヒ〈生〉』10月27日発売 新ジャンルからビールへ」(2026年9月18日) https://www.asahibeer.co.jp/news/2026/0918_2.html
  7. 日本ビアジャーナリスト協会「新ジャンルがビールへ 金麦・本麒麟・麦とホップに見る2026年10月酒税改正」(2026年6月26日) https://www.jbja.jp/archives/61823
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