
9月18〜20日に行われたロシア下院選(定数450)で、プーチン政権の与党「統一ロシア」が349議席を獲得した。ロシア中央選挙管理委員会の集計結果として、下院が9月25日に発表した[1]。単独で憲法改正を発議できる3分の2(300議席)を大きく超え、議席の約8割を与党が握る構図となった[1]。
野党は共産党37議席にとどまる
下院の発表によると、ほかの政党の獲得議席は、共産党37、極右の自由民主党23、中道右派「新しい人々」19、「公正ロシア」17、「祖国」1で、無所属が4議席だった[1]。投票率は59.80%だった[1]。下院議長のボロジン氏は、プーチン大統領のもとに人々が結束したとの見方を示している[1]。
ウクライナ侵攻後では初の下院選だったが、侵攻に反対してきた唯一の政党ヤブロコは、8月に最高裁で比例代表の名簿の登録を取り消され、選挙に参加できなかった[2]。
数字が示しているのは支持ではない
この結果を「国民が戦争を支持した」と読むのは正確ではない。反戦を掲げる政党が比例代表に参加できず、政権への批判票の受け皿が限られた状態で行われた選挙である[2]。投票用紙に選択肢が存在しないなら、得票率は支持率ではなく、動員の成果を示す数字にすぎない。
それでも、この選挙に意味がないわけではない。むしろ逆で、政権にとっては侵攻継続の正統性を国内向けに調達する手続きとして機能する。憲法改正の水準を単独で満たす議席は、動員や統制に関する立法を議会が止めない体制を制度的に確定させた。戦時の意思決定から、議会というブレーキが外れたという意味である。
投票率が6割に届かなかった点は見ておきたい。強権的な体制ほど高い投票率を演出したがるものだが、その数字を作りきれなかったということは、無関心という形の距離が社会に残っていることを示す。選挙の結果より、この空白のほうが長い目では効いてくるかもしれない。
脚注
- ロシア連邦下院(国家会議)「Итоги выборов в Государственную Думу IX созыва」(第9期下院選挙の結果、2026年9月25日) http://duma.gov.ru/news/64124/
- The Moscow Times "Russian Supreme Court Bars Yabloko Party From State Duma Elections"(2026年8月10日) https://www.themoscowtimes.com/2026/08/10/russian-supreme-court-bars-yabloko-party-from-election-a93452

