
国内最大の発電会社JERAは10月1日、米IT大手のデル・テクノロジーズ、英国のAIインフラ開発会社RHAELM(レルム)と、千葉火力発電所(千葉市)の敷地で人工知能(AI)向けデータセンターを整備する覚書を結んだと発表した[1]。受電容量は最大40万キロワットで、単一の拠点としては日本最大、中国を除くアジアでも最大規模になるという[1]。投資額は150億ドル(約2.3兆円)以上を見込み、2028年ごろの運用開始を目指す[1]。
JERAのAIデータセンター計画、3社の役割
今回の覚書は、日本で国家規模のAIインフラを整備するための基本構想づくりと事業化の検討に関するものだ[1]。3社の役割は次のように分かれる[1]。
- JERA:液化天然ガス(LNG)の調達から発電までを担う電力供給の基盤を構築
- デル・テクノロジーズ:「Dell AI Factory」を通じて標準化したAIインフラを提供
- RHAELM:プロジェクト全体を主導し、AIインフラの開発と運営を担う
米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントも、RHAELMの戦略的な投資パートナーとして参加する予定だ[1]。英語版の発表資料は、千葉の計画を日本で単一拠点として最大のAIインフラ展開になると位置づけている[2]。
発電所の隣に建てる理由
計画の最大の特徴は、発電所の敷地にデータセンターを置き、既存の発電設備から直接電気を受ける「オンサイト型」の電力供給にある[1]。一般的なデータセンターは送電網に接続して電気を受けるが、大規模な施設では送電線や変電設備の増強が必要になり、接続までに何年も待つことがある。
発電所の隣なら、こうした手間とコストを省ける。JERAは、送電網に接続する従来型の開発に比べて数年早くAIの計算能力を提供できるとしている[1]。JERAの可児行夫会長はコメントで、LNGの調達から発電までを一貫して担う事業基盤を同社の強みに挙げ、燃料調達やエネルギー供給に制約のある日本でもAIインフラを迅速に整備し、全国へ広げていく考えを示した[1]。
40万キロワットはどのくらいの規模か
40万キロワットは、中規模の火力発電所1基分に近い電力だ。生成AIの学習や利用には、大量の画像処理半導体(GPU)を24時間動かす必要があり、データセンター1カ所で一つの都市並みの電気を使う時代になっている。
3社は千葉を、標準化され、繰り返し使える開発手法の第1弾と位置づけている。2030年代には、日本全体で数百万キロワット規模のAIの計算能力の実現を支援することを目指すという[1]。アジアのデータセンターを巡っては海外の投資マネーの動きも活発で、日本は有力な投資先の一つになっている。
電力とAIの「地産地消」の課題
一方で課題も残る。千葉火力発電所はLNGを燃料とする火力発電所で、AI向けの電力需要が増えれば、二酸化炭素の排出も増える。脱炭素の目標とどう両立させるかは、JERAにとっても日本のエネルギー政策にとっても避けて通れない論点だ。
また、発電所の電気を特定の施設に長期間振り向けることが、地域の電力需給に与える影響も見ておく必要がある。今回はまだ覚書の段階で、最終的な投資判断はこれからだ。AIの競争力が電力をどれだけ早く確保できるかで決まりつつある中、発電所とデータセンターを一体で整備する手法が日本で広がるのか。千葉の計画はその試金石になる。
脚注
- JERA ニュースリリース(AIインフラ整備に向けたDell Technologies、RHAELMとの覚書締結)(2026年10月1日) https://www.jera.co.jp/news/information/20261001_2535
- JERA "JERA, Dell Technologies and RHAELM Sign MoU to Accelerate National-Scale AI Infrastructure Development in Japan"(2026年10月1日) https://www.jera.co.jp/en/news/information/20261001_2535

