光通信など、レオパレス21に最大2676億円でTOB

光通信は2026年9月14日、投資ファンド2社と組んで、賃貸住宅大手のレオパレス21を公開買付け(TOB)で非上場化すると発表した。買付価格は1株1000円で、買付代金は最大2676億円になる。レオパレス21は賛同を表明し、株主に応募を勧めている[1]。

レオパレス21へのTOB、条件の要点

光通信の公表資料によると、主な条件は次のとおりだ[1]。

  • 買付期間:2026年9月15日〜10月30日(30営業日)
  • 買付価格:1株1000円。公表前営業日(9月11日)の終値657円に対し52.21%、直近1カ月の平均639円に対し56.49%のプレミアム
  • 買付予定数の下限:1億5871万6000株(上限なし)
  • 買付代金:最大2676億6800万円
  • 決済の開始日:11月9日

買い手は、光通信が間接的に全株を持つ受け皿会社「K891」だ。TOBが成立すると、その親会社にMBKパートナーズ系のファンドと、NECキャピタルソリューションの完全子会社が運営するファンドが出資し、議決権の割合は光通信34.0%、両ファンドが33.0%ずつになる予定だ[1]。光通信は現在もグループのファンドなどを通じて、レオパレスの株式の18.11%を持つ[1]。TOB後は、2027年1月ごろに臨時株主総会を開いて株式併合を行い、非上場化を完了させる予定としている[1]。

800円から1000円へ、価格はこう決まった

資料には、価格交渉の経緯が細かく記されている。光通信は2025年12月19日、1株800円以上を想定した正式な意向をレオパレスに伝えた。その後、MBKパートナーズとNECキャピタルソリューションを加えた3社の連合として改めて800円を提示したが、レオパレスの特別委員会は、本来の価値を踏まえると十分でないとして引き上げを要求した。連合側は5月に900円以上、6月に950円を示し、最終的に1000円で合意した[1]。

特別委員会は、当初提案から25.0%の増額を引き出したと説明している[1]。一方、光通信側の財務アドバイザー(SBI証券)が算定したレオパレスの1株当たり価値は、市場株価平均法で639〜657円、類似会社比較法で917〜936円、DCF法では1134〜1322円だった[1]。将来の収益から価値を求めるDCF法の範囲が、TOB価格を上回っている点は、株主が応募を判断するうえで一つの材料になる。

狙いは「法人の社宅」という顧客基盤

レオパレス21は全国で約54万戸の単身者向け賃貸住宅を扱い、2018年に発覚した施工不備の問題で業績が悪化した後、家賃の見直しや人件費の削減などで回復基調にあるとされる[1]。

光通信が資料で挙げた相乗効果の中心は、入居者の約3分の2を占める法人の社宅利用だ。光通信グループの関係先や取引先をレオパレスの法人顧客として紹介して新たな入居者を獲得するほか、グループの外国人労働者向けサービスと連携して、受け入れ機関経由の入居も見込む[1]。管理物件の減少が加速しているとして、物件オーナーの収支改善に向けた取り組みも検討するとしている[1]。

非上場化で問われる説明

光通信は電力や通信、保険など、契約を積み上げて稼ぐ商材を多く持つ。入居者と法人の顧客基盤をまとめて手に入れれば、そこに自社グループのサービスを載せられる。今回の買収は、不動産そのものより「顧客との接点」を買う取引といえる。

一方、2018年以降の施工不備の対応では、補修を待つ物件オーナーや入居者への影響が続いた。非上場になれば開示の義務は軽くなる。オーナーとの契約条件や入居者向けのサービスがどう変わるのかを、上場企業だったとき以上に丁寧に説明できるかが、新しい株主の下での信頼回復を左右する。

脚注

  1. 光通信「公開買付け開始時点では子会社である株式会社K891における株式会社レオパレス21(証券コード:8848)の株券等に対する公開買付けの開始及び子会社の異動(関連会社化)に関するお知らせ」(2026年9月14日) https://www.hikari.co.jp/assets/pdf/news/260914_1.pdf
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