
家庭の電気代とガス代が、10月使用分から一斉に値上がりする。大手電力10社と都市ガス大手4社が9月29日に発表した10月使用分の料金は、政府の電気・ガス料金補助が9月使用分で終わるため、全社で上がる[1][2][3]。各社の平均的な家庭のモデルで、電気代は835〜1578円、ガス代は435〜744円の値上がりとなる[1][2][3]。
電気代は大手10社すべてで値上がり
電力各社の発表によると、10月使用分にあたる「11月分」の電気料金は、平均的な家庭のモデルで全10社とも前月より上がる[1][2]。値上がり幅が最も大きいのは沖縄電力の1578円で、料金も1万752円と10社で最も高い。最も安いのは北陸電力の7970円で、値上がり幅も835円と最も小さかった[2]。
東京電力エナジーパートナーの平均モデル(従量電灯B・30A、月260キロワット時)の料金は、前月より1286円高い9561円になる[1]。各社の料金と値上がり幅は次のとおりだ[1][2]。
| 電力会社 | 11月分(10月使用分) | 前月からの値上がり |
|---|---|---|
| 北海道電力 | 1万552円 | 1286円 |
| 東北電力 | 9690円 | 1486円 |
| 東京電力エナジーパートナー | 9561円 | 1286円 |
| 中部電力ミライズ | 9647円 | 1492円 |
| 北陸電力 | 7970円 | 835円 |
| 関西電力 | 8251円 | 1318円 |
| 中国電力 | 9158円 | 1326円 |
| 四国電力 | 9372円 | 1412円 |
| 九州電力 | 8115円 | 1239円 |
| 沖縄電力 | 1万752円 | 1578円 |
モデルの使用量は各社で異なり、北海道電力と北陸電力は月230キロワット時、九州電力は250キロワット時、ほかの7社は260キロワット時で計算している[1][2]。会社どうしの料金を比べるときは、この違いに注意が要る。
都市ガスも4社で値上がり
都市ガス大手4社の11月検針分の料金も、すべて上がる[3]。標準的な家庭での値上がり幅は、東京ガス(東京地区、月30立方メートル)が744円と最も大きく、大阪ガスが572円、東邦ガスが553円、西部ガス(月23立方メートル)が435円だった[3]。料金は東邦ガス(月29立方メートル)が7118円、大阪ガスが6902円になる[3]。
東京ガスは、原料価格に合わせて調整する単位料金は前月より下がるものの、10月1日の約款改訂に伴う係数の適用と政府の補助の終了が重なり、標準家庭の料金は上がると説明している[3]。
値上がりの理由は補助の終了と託送料金の見直し
値上がりの主な理由は、政府の補助がなくなることだ。政府は冷房で電気を多く使う夏に合わせ、2026年7〜9月使用分の料金を補助してきた。5月26日の閣議で、予備費から約5135億円を充てることを決めていた[5]。
補助の単価は次のとおりだった[4]。
- 電気(家庭など低圧):7月・9月使用分は1キロワット時あたり3.5円、8月使用分は4.5円
- 都市ガス:7月・9月使用分は1立方メートルあたり14円、8月使用分は18円
電気代には、もう一つの押し上げ要因がある。送配電網の利用料である「託送料金」が11月1日から見直され、電力各社はその分を電気料金に反映する[1][2]。各社の平均モデルでの影響額は、中部電力ミライズが395円、東北電力が485円、関西電力が408円、九州電力が366円などとなっている[2]。燃料価格の変動による影響は、北陸電力で30円など、補助の終了や託送料金に比べて小さい[2]。
いつの請求から高くなるのか
注意したいのは、使った月と請求される月のずれだ。電力各社の「11月分」の料金は、おおむね10月の検針日から11月の検針日の前日までに使った電気が対象になる[2]。9月に使った分までは補助が効いているため、10月に届く請求では値引きが残っている。補助のない料金が請求されるのは、10月使用分の請求が届く11月からになる。
なお、多くの社は、11月1日以降の新しい料金を1カ月通して当てはめた場合の金額を示している。実際の請求は検針日によって、見直し前と見直し後の料金を日割りした金額になる[1][2]。
家計への影響と、冬に向けた課題
10月は食品の値上げも相次いでおり、帝国データバンクの集計では飲食料品の値上げが3153品目にのぼる[6]。光熱費の値上がりは家計に追い打ちとなる。補助はもともと夏の3カ月に限った措置で、終われば料金が元の水準に戻るのは避けられない。今回はそこに託送料金の見直しが重なる。
政府はこれまで、冬や夏の電気・ガス使用が多い時期に補助を繰り返してきた。一時的な補助は負担をやわらげる一方、終わるたびに値上がりが起き、料金の先行きが読みにくくなる面もある。これから暖房を使う季節に入り、使用量そのものも増えやすい。家庭では、契約プランや使用量の見直し、省エネ家電への買い替えなど、できる対策を早めに考えておきたい。政府には、補助に頼り続けるのではなく、燃料価格の変動に強いエネルギーの確保や、所得の低い世帯に的を絞った支援のあり方を示すことが求められる。
脚注
- 東京電力エナジーパートナー「2026年11月分電気料金の燃料費調整等について」(2026年9月29日) https://www.tepco.co.jp/ep/notice/pressrelease/2026/pdf/260929j0301.pdf
- 大手電力各社の2026年11月分電気料金に関する発表(いずれも2026年9月29日)。北海道電力 https://www.hepco.co.jp/info/2026/1253198_2073.html/東北電力 https://www.tohoku-epco.co.jp/news/fuel/1249048_2557.html/中部電力ミライズ https://miraiz.chuden.co.jp/info/press/1218404_1938.html/北陸電力 https://www.rikuden.co.jp/press/attach/26092901.pdf/関西電力 https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2026/pdf/20260929_4j.pdf/中国電力 https://www.energia.co.jp/assets/press/2026/p20260929.pdf/四国電力 https://www.yonden.co.jp/press/2026/__icsFiles/afieldfile/2026/09/29/pr007_1.pdf/九州電力 https://www.kyuden.co.jp/press/2026/h260929-1.html/沖縄電力 https://www.okiden.co.jp/shared/pdf/news_release/2026/260929.pdf
- 都市ガス大手4社の2026年11月検針分ガス料金に関する発表(いずれも2026年9月29日)。東京ガス https://www.tokyo-gas.co.jp/news/press/20260929-02.html/大阪ガス https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2026/1825712_60967.html(前月分は2026年8月28日発表 https://www.osakagas.co.jp/company/press/pr2026/1825271_60967.html)/東邦ガス https://www.tohogas.co.jp/corporate-n/press/1261524_1342.html/西部ガス https://hd.saibugas.co.jp/news_release/detail/2026/pdf/nr021.pdf
- 経済産業省「2026年7月、8月及び9月使用分の電気・ガス料金支援の実施に伴い、電気・都市ガス料金の値引きを行うことができる特例認可・承認を行いました」(2026年6月12日) https://www.meti.go.jp/press/2026/06/20260612003/20260612003.html
- 財務省「令和8年度一般会計予備費使用(令和8年5月26日閣議決定)」 https://www.mof.go.jp/policy/budget/budger_workflow/budget/fy2026/r80526kakugikettei.pdf
- 帝国データバンク「『食品主要195社』価格改定動向調査 ― 2026年10月」(2026年9月30日) https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260930-pricepass-on202609/

