
好きな人物や作品を応援する「推し活」に、二極化の兆しが出ている。調査会社のインテージが9月に公表した調査によると、「推し」がいる人の割合は33.6%で、前年の35.1%から1.5ポイント下がった[1][2]。一方で、ゲームやアニメでは推しにかける1人あたりの支出が2倍以上に増えた[1]。
推しがいる人は3人に1人
調査は2026年1月14〜19日に、全国の15〜79歳の男女5000人を対象に行った[1]。推しがいる人は全体の33.6%で、およそ3人に1人にあたる。女性のほうが男性より、若い世代ほど推しがいる割合が高く、最も高いのは女性15〜19歳の75.9%だった[1]。
減少が目立ったのは高齢層だ。男性60代で前年から3.8ポイント、男性70代で10.5ポイント、女性70代で5.0ポイント下がった[1]。推しのジャンルは「国内のアイドル」(9.4%)、「ミュージシャン・バンド」(8.3%)、「アニメ」(7.4%)の順に多かった[1]。10代男性では「アニメ」が前年の16.2%から22.1%に伸び、初めて1位になった[1]。
ゲームは2.6倍、アニメは2.0倍
一方、推しにかけるお金は多くのジャンルで増えた。過去1年間の支出額は、ゲームが1万4116円から3万6698円へ2.6倍、アニメが1万1259円から2万2584円へ2.0倍になった[1]。
支出が増えた理由(複数回答)で多かったのは、「グッズや関連商品の購入が増えたから」(45.7%)、「ライブやイベント参加が増えたから」(37.3%)、「推しへの愛情が深まったから」(36.1%)だった。「価格が上がったから」は16.3%にとどまった[1]。値上がりに押し上げられたというより、自ら進んでお金を使う人が増えたことがうかがえる。
推し活にも物価高と「選択と集中」
インテージが2025年に公表した前年の調査では、推し活への物価高・円安の影響について、半数を超える人が「全く影響しない」と答えていた[2]。食費や光熱費は切り詰めても、推しにかけるお金は守るという人が多かったことになる。
今回の結果は、その先の姿を映しているようにみえる。物価高で家計に余裕がなくなるなか、推し活そのものから離れる人がいる一方、推しを続ける人は対象を絞り、より深くお金と時間を注ぐ。広く浅くから、狭く深くへ。これが「二極化」の中身だろう。
企業に問われる「深いファン」との向き合い方
ゲームやアニメの支出が大きく伸びた背景には、作品の世界を長く楽しめる仕組みがある。ゲームはアイテム課金やイベントで継続的に楽しめ、アニメは配信、映画、グッズ、ライブへと関わり方が広がっている。
企業にとって、熱心なファンが支出を増やしていることは追い風だ。ただ、限られた層への依存が強まれば、市場の裾野は細っていく。高額なグッズや特典で熱心なファンに頼りすぎると、新しいファンが入りにくくなるおそれもある。推し活を一時のブームで終わらせないためには、深いファンを大切にしながら、気軽に楽しめる入り口を残しておく工夫が欠かせない。
脚注
- インテージ「推し活二極化。推し減も支出増。ゲーム2.6倍、アニメ2.0倍」(2026年9月10日) https://www.intage.co.jp/news/8487/
- インテージ「『推し活』3人に1人。物価高・円安の影響『受けない』5割超」(2025年6月12日) https://www.intage.co.jp/news/6144/

