フェローテックが日本抵抗器製作所をTOBで子会社化へ 1株1901円、プレミアム44%

半導体・電子部品のフェローテック(東証スタンダード、6890)は9月17日、電子部品メーカーの日本抵抗器製作所(同6977)をTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化すると発表した。買付価格は1株1901円で、公表前日の終値1318円に44.23%のプレミアムを乗せた水準である[1][2]。

下限は50.01%、上限は設けず

買付期間は2026年9月18日から11月5日までの30営業日で、決済の開始日は11月12日。買付予定数は123万7203株、下限は所有割合50.01%に当たる61万8700株に設定し、上限は設けていない。買付代金は約23億5100万円となる[1][2]。

日本抵抗器製作所は9月17日の取締役会で、TOBへの賛同と株主への応募推奨を決議した[1]。TOBが成立すれば、一連の手続きを経て東証スタンダード市場の上場は廃止される[2]。

抵抗器と温度制御部品を組み合わせる

日本抵抗器製作所は1943年に富山県で設立され、本社は同県南砺市にある。1964年に東証2部に上場し、2022年4月にスタンダード市場へ移行した[2]。事業構成は抵抗器、ポテンショメーター、ハイブリッドIC、電子機器に分かれ、車載向けの比重が大きい[3]。2026年12月期は売上高65億円の見通しで、中間期の売上高は前年同期比10.7%増の約30億円、営業損益は赤字が大幅に縮小した[3]。

フェローテックは、日本抵抗器製作所の抵抗器・角度センサーと、自社グループの温度制御部品などを組み合わせ、車載関連分野での事業拡大を目指す。海外販売の拡大や生産効率の向上、高付加価値製品の共同開発も相乗効果として挙げている[1][2]。

44%のプレミアムは何の値段か

注目すべきは、買付総額23億円という小ぶりな案件に44%を超えるプレミアムが乗った点である。売上高65億円規模の会社に対し、株式時価はその半分に満たない水準で放置されていたことになる。収益力が回復途上で、市場の評価が追いついていなかったと見るのが自然だ。

スタンダード市場には、確かな技術と顧客基盤を持ちながら、時価総額が小さく流動性も乏しい中堅メーカーが少なくない。上場を維持するコストは開示規制の強化とともに上がり続けており、単独で研究開発や海外展開の投資をまかなうのは難しくなっている。今回の案件は、そうした企業が資本の傘に入ることで成長の資金と販路を得る、典型的な形といえる。

上限を設けず、下限を50.01%と過半数ちょうどに置いた設計も、この案件の性格を示している。全株取得を前提にしながら、まずは経営権の確保を確実にする組み立てだ。応募が下限に届かなければTOBは不成立となるため、賛同を表明した対象会社の取締役会と、主要株主の判断が事実上の分水嶺になる。

もっとも、プレミアムの高さは既存株主にとっての妥当性と、買い手にとっての回収可能性の両面から評価されるべきものだ。車載向けの部品は自動車メーカーの生産計画に左右され、電動化の進み方によって需要の中身も変わる。抵抗器やセンサーといった地味な部品こそ、設計の世代交代で採用が入れ替わりやすい。統合後にどれだけ共同開発を具体化できるかが、23億円の値付けの答え合わせになる。

脚注

  1. 日本M&Aセンター「フェローテックが日本抵抗器製作所にTOBへ」(2026年9月17日) https://www.nihon-ma.co.jp/news/20260917_6890-14/
  2. フェローテック「株式会社日本抵抗器製作所(証券コード:6977)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2026年9月17日) https://www.ferrotec.co.jp/php/download.php?f=jp/20260915536876.pdf
  3. 株探「日本抵抗器製作所(6977)」の企業情報および決算情報 https://kabutan.jp/stock/?code=6977/日本抵抗器製作所「財務情報」 https://www.jrm.co.jp/company/company1.html
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