ルネサスとティアフォーが協業 自動運転レベル4対応の国産プラットフォーム構築へ

ルネサスエレクトロニクスと自動運転ソフトウェアのティアフォーが、自動運転向けの計算基盤づくりで協業する。ティアフォーが8月20日に発表した[1]。ルネサスの車載用の半導体「R-Car」の第5世代品に、ティアフォーの自動運転ソフトを載せ、先進運転支援のレベル2+から、特定の条件で運転を車に任せるレベル4までをカバーする基盤として、自動車メーカーや部品メーカーに売り込む[1]。

ルネサスとティアフォー、それぞれが持ち寄るもの

ティアフォーは、自動運転用のオープンソースソフト「Autoware」の開発を主導している。協業では、このAutowareと、同社が開発するエンドツーエンド型の自動運転AIモデルを、ルネサスの「R-Car Gen 5」向けに最適化する[1]。ティアフォーはR-Car Gen 5を、自社の自動運転技術向けの主要な基準プラットフォームの一つに位置づける[1]。

R-Car Gen 5の最上位品「R-Car X5H」は、3ナノメートル世代の製造技術を使う車載用SoC(システム・オン・チップ)だ。ルネサスによると、運転支援、車載情報機器、ゲートウェイの機能を1つのチップで同時に動かせ、AI処理性能は最大400TOPS。2025年12月には、サンプル出荷と評価ボードの提供を始めたと発表している[2]。

ティアフォーは9月9〜11日に幕張メッセで開かれたAutomotive World 2026で、R-Car X5H上でAutowareとAIモデルを動かすデモを行う予定だとしていた[1]。協業の発表を受け、8月20日の東京株式市場ではティアフォー株が後場に上げ幅を広げた[3]。

自動運転の計算基盤で「オープン」を掲げる意味

自動運転向けの計算基盤では、半導体とソフトを一体で提供する海外勢の存在感が大きい。今回の協業が「オープン」を前面に出しているのは、特定企業の仕様に縛られない選択肢を自動車メーカーに示す狙いがあるとみられる。ソフトはオープンソースのAutoware、半導体は国内メーカーのR-Carという組み合わせが成り立てば、自動運転の中核部分を国内企業の技術でそろえる道も開ける。

両社の思惑も重なる。ティアフォーはAutowareを軸にした開発者や企業の輪を広げたい。ルネサスは、ソフトとAIが共通の基盤の上で連携する次世代の車載コンピューターという自社の構想を、この協業で前に進めたいとしている[1]。

問われるのは採用台数

ただ、この種の発表を評価するには慎重さが要る。プラットフォーム構想の成否を決めるのは技術の筋の良さそのものではなく、実際に何台の車に載るかだからだ。オープンであることは参加のハードルを下げるが、それだけでは採用は増えない。

今回の発表時点で、量産車への搭載時期や採用メーカーは明らかにされていない。展示会のデモで「動いて見せた」段階から、具体的な採用につながるのか。国産の自動運転基盤という構図が実体を持つかどうかは、次の一手で見えてくる。

脚注

  1. ティアフォー「ティアフォー、ルネサスとSDV向けのオープンかつAIネイティブなコンピューティングプラットフォームの構築に向けて協業」(2026年8月20日、PR TIMES) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000040119.html
  2. Renesas Electronics "Renesas Fast-Tracks SDV Innovation with R-Car Gen 5 SoC-Based End-to-End Multi-Domain Solution Platform"(2025年12月、英語) https://www.renesas.com/en/about/newsroom/renesas-fast-tracks-sdv-innovation-r-car-gen-5-soc-based-end-end-multi-domain-solution-platform
  3. 株探「ティアフォーが後場上げ幅急拡大、自動運転『レベル4』対応へルネサスと協業」(2026年8月20日) https://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n202608200718
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