日独首脳会談、AI対話を新設 戦闘機の協力も検討へ

高市早苗首相は2026年10月28日、来日したドイツのフリードリヒ・メルツ首相と首相官邸で日独首脳会談を行った[1]。両首脳は幅広い分野で戦略的な連携を強めることで一致し、「首脳共同声明」と、先端技術・経済安全保障の各分野の「首脳共同宣言」の3文書を出した[1][2]。人工知能(AI)のハイレベル対話の立ち上げや、重要鉱物の調達先の多様化を進めることを確認した。

日独首脳会談で一致した主な点

会談後の共同記者発表で両首脳が説明した主な内容は次のとおり[1][2]。

  • 安全保障:「欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分」との認識を共有。部隊間の協力を深める機会や枠組みを検討し、防衛産業でも協力
  • 先端技術:フュージョン(核融合)や水素、半導体、6G(第6世代移動通信)で官民の協力を進める
  • AI:「日独AIハイレベル対話」を立ち上げ、日本でのAIサミット開催に向けて連携
  • 経済安全保障:重要鉱物の供給源の多角化や代替供給源の開発、重要技術の保護に取り組む
  • 官民でおよそ30の協力覚書を交換

高市首相は両国を「プレミアム・パートナー」と位置づけ、インド太平洋やウクライナの情勢についても強い連携を確認したと述べた[1]。

メルツ首相、戦闘機分野の協力を「検討」

ドイツ政府の発表によると、メルツ首相は会見で、防衛装備の協力を強める一環として、戦闘機の開発での協力が可能かどうかを探る考えを示し、そのための検討を準備したと述べた[2]。また、今月太平洋で行われている演習「キーン・ソード」に、100人を超えるドイツ軍の兵士が参加していることも紹介した。

高市首相も会見で、互いに補い合える防衛産業の分野で協力を進めると述べている[1]。両国の協力が部隊の訓練から装備の開発にまで広がれば、欧州とアジアの防衛産業の結び付きは一段と強まる。ただ、メルツ氏の発言は可能性を探る段階にとどまり、具体的な形はまだ見えていない。

メルツ首相のアジア歴訪、日本は2か国目

メルツ首相は10月26日から30日まで、シンガポール、日本、韓国を回る日程でアジアを訪れた[2]。首相として初めての東京訪問で、会談の前には東京で開かれた日独の経済界の会合にも出席した。ドイツ政府によると、メルツ氏はこの場で、規則に基づく貿易を守るための国際的な連携づくりを提案した。

会見では、ロシアのウクライナ侵攻について日本の継続的な支援に謝意を示し、台湾海峡の緊張に懸念を表明した[2]。会談の後は、日独の経済関係者の表敬を受け、首相主催の夕食会を開いた[1]。

2027年に政府間協議、2028年はハノーバーメッセ

メルツ首相は、高市首相が2027年に政府間協議のためにベルリンを訪れる予定だと明らかにした[2]。さらに、日本が2028年の産業見本市「ハノーバーメッセ」のパートナー国になると述べた。首脳の往来と大型の経済行事が続けて予定されている。

日独は、どちらも製造業が強く、資源を海外に頼る点で似ている。特定の国に偏った重要鉱物の調達や、大国の通商政策による揺さぶりは、両国に共通する課題だ。今回の共同宣言は、こうした課題に一国ではなく同じ立場の国と組んで備える狙いがある。

協力の実行が試される段階に

今回の会談で並んだ協力分野は、AI、半導体、核融合、重要鉱物、防衛と幅広い。官民の覚書が約30本交わされたことで、企業同士の具体的な事業につながる土台はできた。

課題は、宣言を実際の調達先の切り替えや共同開発にどこまで結びつけられるかだ。重要鉱物の代替供給源の開発は時間も費用もかかる。2027年のベルリンでの政府間協議までに、AI対話や鉱物の協力でどれだけ具体的な成果を示せるかが、「プレミアム・パートナー」という言葉の重みを決める。

脚注

  1. 首相官邸「日独首脳会談」(2026年10月28日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/actions/202610/28germany.html
  2. ドイツ連邦政府「Deutschland und Japan: Freiheit, Sicherheit und Wohlstand gemeinsam stärken」(2026年10月28日) https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/bundeskanzler-takaichi-japan-2458896
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