
総務省は2026年10月30日、今年度中に始める「ふるさと住民登録制度」について、全国の都道府県知事と市区町村長に制度への参加と積極的な活用を求める総務大臣書簡を出した[1]。住んでいる場所とは別の地域に関わりたい人を「関係人口」として登録し、地域の担い手の確保につなげる制度で、国が全国共通の仕組みを整えるのは初めてとなる[1]。自治体からのシステムの利用申請は、10月30日から2027年1月29日まで受け付ける。
ふるさと住民登録制度とは
この制度では、自分が住んでいない地域との結び付きをスマートフォンのアプリに登録し、関わりを見えるようにする[2]。受け入れる自治体は地域の情報や担い手活動の募集を発信し、登録した人はそれを見て現地の活動に参加できる。活動の参加記録はシステムに残る。
登録には次の2種類がある[2]。
- ベーシック登録:誰でもすぐに登録できる。地域独自の情報を見たり、担い手活動に参加したりできる
- プレミアム登録:年3回以上の担い手活動への参加と、マイナンバーカードによる本人確認が必要。自治体や民間が用意する各種のサポートを使える
サポートの例として総務省は、地域のイベントへの招待、祭りでの神輿担ぎなどの体験、災害時の避難の優先的な受け入れ、公共施設の住民並みの利用、地元商店での割引などを挙げている[2]。年に10日以上滞在するなど、自治体が定める条件を満たした長期滞在者は、その旨を登録証に記すことができる。
大臣書簡で「首長のリーダーシップ」を要請
書簡は、人口減少で自治会活動や祭り、伝統行事、農林水産業などの担い手が不足し、地域の活力が失われかねないという危機感を示した[1]。これまでの移住促進による定住人口の増加に加え、地域外に住む人に継続的に関わってもらう取り組みが地域活性化の鍵になるとしている。
そのうえで、情報発信や担い手活動の企画・運営には役所の部署をまたいだ取り組みが必要だとして、首長にリーダーシップを発揮するよう求めた[1]。7月21日に閣議決定された「地域未来戦略」でも、制度の創設は関係人口を増やす主な施策に位置づけられている。
システム利用料は当面無料、交付税措置も
総務省が9月にまとめた資料では、自治体の負担を抑える策を示している[3]。2027年度までに参加する自治体には、システム利用料を一定期間求めない。情報発信や活動の企画、サポートの受け付けなどを担う「ふるさと住民コーディネーター」を置く経費などには、特別交付税の措置を新たに設ける。
システムは国が共通のものを構築し、試用版を使ったモデル事業で使い勝手を確かめたうえで正式版を完成させる計画だ[3]。2027年度の概算要求では、制度の普及促進事業に3億2200万円を求めている。
ふるさと納税との違い、問われる「関わりの中身」
地域外の人と自治体を結ぶ仕組みとしては、ふるさと納税が広く知られている。ふるさと住民登録制度は、寄付と返礼品ではなく、現地での活動を通じた継続的な関わりを重視する点が違う。プレミアム登録に年3回以上の活動を求めるのは、名前だけの登録ではなく実際に地域を支える人を増やしたいという狙いの表れだ。
一方で、受け入れる自治体が魅力的な活動の場やサポートを用意できなければ、登録は広がらない。職員の少ない小さな町村ほど担い手不足は深刻だが、制度を運用する余力も乏しい。来年1月末までの申請期間にどれだけの自治体が参加を表明するかが、制度の滑り出しを測る最初の目安になる。
脚注
- 総務省「ふるさと住民登録制度の推進に関する総務大臣書簡」(2026年10月30日) https://www.soumu.go.jp/main_content/001099120.pdf
- 総務省「ふるさと住民登録制度ナビ 制度の概要」 https://www.soumu.go.jp/furusatojuumin/about.html
- 総務省「ふるさと住民登録制度について」(2026年9月) https://www.soumu.go.jp/main_content/001092490.pdf

