コメ民間在庫255万トン、9月末で最高 契約は大幅減

農林水産省が2026年10月30日に公表した調査によると、9月末のコメの民間在庫は255万玄米トンで、前年同月より58万トン多かった[1]。同省は9月末として最も高い在庫水準だとしている。新米(2026年産)の集荷は前年を上回る一方、卸売業者などとの契約は大きく減り、流通の入り口でコメが積み上がっている。

コメの民間在庫、9月末の内訳

民間在庫は、農協などの集荷業者が持つ「出荷段階」と、卸売業者が持つ「販売段階」に分けて集計している。9月末の内訳は次のとおり[1][2]。

  • 出荷段階:206万トン(前年同月比61万トン増)
  • 販売段階:50万トン(同3万トン減)
  • 合計:255万トン(同58万トン増)

増えたのはほぼすべて集荷業者の手元の在庫で、卸売業者の在庫はむしろ減った。同省の資料では、2026/27年の需要見通し(695万〜712万トン)に対する在庫の比率は36〜37%で、2008年以降の9月末の数字で最も高い[2]。前年9月末は198万トン、在庫率は29%だった。

新米は集荷増、契約は半分強に

2026年産米の9月末時点の状況は次のとおり[1]。

  • 集荷数量:98.9万トン(前年同月比4.1万トン増)
  • 契約数量:66.9万トン(同57.3万トン減)
  • 販売数量:7.4万トン(同4.7万トン減)

集荷業者が農家から集めたコメは前年より多いのに、卸売業者などに売る契約は前年の5割強にとどまった。前年は品薄を背景に卸売業者が新米の確保を急いだとみられるが、今年は在庫に余裕があり、契約を急ぐ動きが弱い。

小売向けの価格は前年の81%

米穀販売事業者が売っている精米の動きを指数にした調査では、9月の販売数量は前年同月比98.4%だった[1]。小売向けは104.4%と増えたが、中食・外食向けは91.4%と減った。販売価格は小売向けが前年同月比81.4%と2割近く下がった一方、中食・外食向けは109.5%と上がっている。

コメ農家自身の手元の在庫も増えている。農水省が10月28日に公表した調査では、6月末の農家1経営体あたりの在庫は前年より4割多かった。詳しくは当サイトの記事コメ農家の在庫、6月末363キロ 前年比41%増で伝えている。

不足から過剰へ、価格調整はこれから

2年前のコメ不足と価格高騰を受け、生産現場では作付けを増やす動きが広がった。その結果、流通の在庫は1年で3割近く増え、今度は過剰が目立ち始めている。小売向けの価格が前年の8割程度まで下がったのは、消費者には朗報だが、集荷業者は高値で集めた在庫を抱えたまま、安くなった相場で売らなければならない。

契約が前年の5割強にとどまっていることは、卸売業者が値下がりを見込んで買い控えている可能性を示す。集荷業者が在庫を減らすために販売価格を下げれば、来年産の農家への概算金や作付けの判断にも響く。10月以降の契約の進み具合と、相対取引価格がどこまで下がるかが、コメの需給の次の姿を占う材料になる。

脚注

  1. 農林水産省「令和8年9月の米穀流通の動向(集荷、販売、民間在庫)」(2026年10月30日) https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/261030.html
  2. 農林水産省「令和8年9月末民間在庫量のポイント」(2026年10月30日) https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/attach/pdf/261030-5.pdf
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