
水産庁は2026年10月30日、水産研究・教育機構がまとめた日本海のベニズワイガニ、ヒラメ、アカガレイなど6種7資源の2026年度の資源評価結果を公表した[1]。ベニズワイガニは鳥取・島根沖の沖合で資源水準が目標を下回った一方、青森から兵庫にかけての沿岸では目標を上回り、海域で明暗が分かれた。ヒラメは日本海の2つの系群とも漁獲量が減っている。
ベニズワイガニの資源評価、2つの海域で差
日本海の本州沿岸に分布するベニズワイガニは、国が許可する沖合の「大臣許可水域」(鳥取県から島根県の地先と沖合)と、各県が許可する「知事許可水域」(青森県から兵庫県の各県地先)に分けて評価している[2]。2026年度の結果は次のとおり。
- 大臣許可水域:2025年の資源量指標値は38.8万で、資源水準は61.9%。目標管理基準値(80%)を下回り、限界管理基準値(56%)は上回った。2025年の漁獲量は6117トン
- 知事許可水域:資源量指標値は51.7万で、資源水準は92.3%と目標を上回った。2025年の漁獲量は4535トン
2027年の許容漁獲量、沖合は約9%減
評価では、資源の状態に応じて漁獲量を増減させる係数を決め、直近5年の平均漁獲量にかけて2027年の生物学的許容漁獲量(ABC)を算出した[2]。
- 大臣許可水域(韓国の漁獲を含む):直近5年平均3万1891トン×係数0.914=2万9138トン
- 知事許可水域:直近5年平均5535トン×係数1.063=5885トン
知事許可水域の計算では、2024年の能登半島地震で漁に出られなかった影響を考え、新潟県と富山県の2024年の漁獲量に推計分を加えて補正した。
ヒラメは減少続く、アカガレイは密度維持
ほかの魚種の主な結果は次のとおり[3][4][5]。
- ヒラメ(日本海北部系群、青森〜富山):2025年の漁獲量は1361トンでやや減少。漁獲尾数は2017年以降減る傾向にある
- ヒラメ(日本海中西部・東シナ海系群、石川〜鹿児島):2025年の漁獲量は724トンで、2008年以降の減少傾向が続く
- アカガレイ(日本海系群):2025年の漁獲量は3100トン。沖合底びき網での資源密度指数は23.8で、2009年以降の17以上の水準を保つ
日韓で分け合う資源、管理の足並みが鍵
沖合の資源の指標は、2015年からの数年で大きく落ち込み、2020年を境に上向いてきた[2]。大臣許可水域の漁獲量も2023年から増えている。それでも目標の水準には戻っておらず、今回の計算では漁獲を1割弱抑える係数が当てはめられた。
ベニズワイガニは、ズワイガニより手頃な価格で加工品や鍋物に広く使われ、日本海側の漁港の重要な収入源になっている。沖合の資源水準が目標を下回ったことで、2027年の漁獲枠は今より絞られる可能性がある。資源量指標値が持ち直しつつあるなかでの減枠は、漁業者にとって痛みを伴う。
一方で、大臣許可水域のABCは、同じ資源をとる韓国の漁獲量を含めて算定している。韓国の2025年の漁獲量は2万6756トンで、日本の大臣許可水域の4倍を超える[2]。日本側だけが漁獲を抑えても、資源全体の回復につながるとは限らない。今回の評価を受けて国が決める漁獲枠の水準と、韓国との漁業協議で資源管理の足並みをそろえられるかが、日本海のカニ漁の先行きを左右する。
脚注
- 水産庁「令和8年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果が公表されました(ベニズワイガニ、ヒラメ、アカガレイ、ソウハチ、ムシガレイ、ニギス)」(2026年10月30日) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/261030.html
- 水産研究・教育機構「ベニズワイガニ(日本海系群)」(2026年10月30日公開) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/attach/pdf/20261030-1.pdf
- 水産研究・教育機構「ヒラメ(日本海北部系群)」(2026年10月30日公開) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/attach/pdf/20261030-2.pdf
- 水産研究・教育機構「ヒラメ(日本海中西部・東シナ海系群)」(2026年10月30日公開) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/attach/pdf/20261030-3.pdf
- 水産研究・教育機構「アカガレイ(日本海系群)」(2026年10月30日公開) https://www.jfa.maff.go.jp/j/press/sigen/attach/pdf/20261030-4.pdf

