
農林水産省は2026年10月30日、パックご飯や即席味噌汁、ラムネなどの炭酸飲料など9品目の輸出実績を、2027年1月分の財務省「貿易統計」から個別に把握できるようになると発表した[1]。いずれも海外での需要が高いのに、今の統計ではほかの品目と一緒に集計されていて、実績を正確につかめなかった。輸出統計の分類(統計細分)を新たに設ける。
パックご飯など、輸出統計で把握できる9品目
新設される統計細分は次のとおり[1]。
- 包装米飯(パックご飯)
- 炭酸飲料(ラムネなど)
- 醤油加工品(出汁醤油など)
- 即席味噌汁
- 冷凍ピザ、冷凍たこやきなど
- こんにゃく(こんにゃく麺など)
- 牡蠣のむき身
- カキフライ
- 干し貝柱
農水省は、パックご飯は米を炊く習慣のない国・地域でも日本産米を手軽に楽しめるとして輸出拡大を見込む[1]。こんにゃく製品は低カロリーで食物繊維が多いことから、健康志向の強い欧米で人気だという。牡蠣のむき身や干し貝柱はアジア、カキフライは欧米を中心に、輸出先の広がりを期待している。
業界との意見交換から品目を選定
農水省は、海外で需要があるのに統計で輸出実績を把握できていない品目を洗い出すため、食品事業者や業界団体と意見交換を重ねてきた[1]。その結果を踏まえて9品目の細分が新設されることになった。今後も統計細分の新設のほか、輸出施策づくりに必要なデータの収集と分析を進めるとしている。
輸出額は上半期8977億円、目標は2030年に5兆円
政府は、農林水産物・食品の輸出額を2030年に5兆円にする目標を掲げている[1]。2026年1〜6月の輸出額は8977億円で、前年同期より10.9%増えた[2]。過去最高の1.7兆円を記録した2025年の同じ時期(8097億円)を上回るペースだ。内訳は農産物が5674億円(8.5%増)、水産物が2384億円(19.5%増)、林産物が394億円(6.2%増)だった。
「見えない輸出」を見えるようにする意味
上半期の伸び率(10.9%)が1年続いたとしても、2026年の輸出額は2兆円に届かない計算で、5兆円との差は大きい。目標に近づくには、伸びている品目を見極め、販路の開拓や規制への対応に予算と人手を集中させる必要がある。どの国に何がどれだけ売れているかがわからなければ、施策の効果も測れない。
パックご飯や即席味噌汁のような加工食品は、日本の食文化を手軽に海外に届ける商品で、コメの国内消費が伸び悩むなかで新たな出口としても注目される。2027年からのデータが、こうした品目の輸出が実際にどこまで伸びているかを示すことになる。統計が整った後、品目ごとの実績が施策の見直しにきちんと生かされるかが次の課題だ。
脚注
- 農林水産省「令和9年1月分からパックご飯、即席味噌汁、ラムネ等の炭酸飲料などの輸出額が把握できるようになります!」(2026年10月30日) https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/261030.html
- 農林水産省「2026年1-6月の農林水産物・食品の輸出実績」(2026年8月4日) https://www.maff.go.jp/j/press/yusyutu_kokusai/kikaku/260804.html

