
総務省が2026年10月30日に発表した9月の労働力調査によると、完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月から0.1ポイント下がった[1]。同じ日に厚生労働省が発表した9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.19倍で、前月を0.01ポイント上回った[2]。失業率は低い水準が続き、求人倍率もわずかに上向いた。
9月の失業率と求人倍率、主な数字
両省の発表による主な数字は次のとおり[1][2]。
- 完全失業率:2.4%(前月比0.1ポイント低下)
- 完全失業者:169万人(前年同月比15万人減)
- 就業者:6896万人(同33万人増)
- 有効求人倍率:1.19倍(前月比0.01ポイント上昇)
- 新規求人倍率:2.19倍(同0.13ポイント上昇)
- 正社員の有効求人倍率:1.01倍(同0.01ポイント上昇)
有効求人倍率は、ハローワークで仕事を探す人1人あたりに何件の求人があるかを示す。1.19倍は、求職者100人に対して求人が119件ある状態だ。
求人倍率の上昇は「求職者の減少」が主因
9月の有効求人は前月から横ばい(0.0%増)で、有効求職者は1.4%減った[2]。求人倍率が上がったのは、求人が増えたからではなく、仕事を探す人が減ったためだ。
労働力調査でも、完全失業者のうち自己都合で仕事を辞めた人は前年同月より9万人、勤め先や事業の都合で辞めた人は3万人減った[1]。仕事を辞めて職探しをする人が少なくなっていることがうかがえる。
業種で分かれる新規求人、製造業8.2%増
先行きの動きを映しやすい新規求人(原数値)は、前年同月比0.4%減だった[2]。業種別の増減は大きく分かれた。
- 増加:製造業(8.2%増)、情報通信業(5.9%増)、サービス業(他に分類されないもの)(4.9%増)など
- 減少:生活関連サービス業・娯楽業(6.7%減)、卸売業・小売業(6.3%減)、宿泊業・飲食サービス業(6.3%減)など
製造業の求人の伸びは、同じ日に経済産業省が発表した9月の鉱工業生産が2.2%上昇したことと方向がそろう[3]。一方、消費に近い小売や飲食で求人が減っている。日銀は個人消費について、物価上昇の影響を受けつつも底堅いとしつつ、先行きは横ばい圏内とみており[4]、消費関連の業種が採用に慎重になっている可能性がある。
非正規が47万人増、正規も35か月連続の増加
雇用形態別では、正規の職員・従業員が3783万人で前年同月より23万人増え、35か月連続の増加となった[1]。非正規の職員・従業員は2138万人で47万人増え、6か月連続で増えた。役員を除く雇用者に占める非正規の割合は36.1%で、0.4ポイント上がった。
15〜64歳の就業率は80.8%で、前年同月から0.5ポイント上がった[1]。就業者の増加を支えているのは主に女性で、前年同月比24万人増と男性(9万人増)を上回った。
地域差は大きく、福井・山梨は1.74倍
働く場所(就業地)で集計した都道府県別の有効求人倍率は、福井県と山梨県が1.74倍で最も高く、大阪府が0.96倍で最も低かった[2]。求人の出し手が多い地域とそうでない地域とで、2倍近い開きがある。
低い失業率の中身に、業種の偏り
失業率2.4%は、働きたい人のほとんどが仕事に就けている水準といえる。日本銀行も10月30日の展望レポートで、労働需給は引き締まった状態が続くと見ている[4]。ただ、新規求人の動きをみると、製造業や情報通信業が伸びる一方で、消費関連の業種は前年を下回っている。
年末商戦を控える小売や飲食で求人の減少が続くかどうかは、家計の消費の強さを測る材料になる。12月からは電気・ガス料金の支援が始まり、ガソリン補助は段階的に縮小される予定だ[5]。家計の負担の変化が消費関連の雇用にどう表れるかも見ておきたい。
脚注
- 総務省統計局「労働力調査(基本集計)2026年(令和8年)9月分結果の概要」(2026年10月30日) https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年9月分)について」(2026年10月30日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76960.html
- 経済産業省「2026年9月の鉱工業(生産・出荷・在庫)指数の動向(速報)」(2026年10月30日) https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202609sj.pdf
- 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf
- 首相官邸「中東情勢を踏まえた『緊急的激変緩和措置』の今後の対応についての高市内閣総理大臣記者会見」(2026年10月29日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/1029kaiken.html

