
総務省が2026年10月30日に発表した東京都区部の10月の消費者物価指数(中旬速報値、2025年=100)は、生鮮食品を除く総合が103.3で、前年同月比2.6%上昇した[1]。上昇率は9月の2.7%から0.1ポイント縮んだ。電気代と都市ガス代が前年を上回るようになった一方、水道料の押し上げがなくなった。東京都区部の結果は全国より先に公表されるため、物価の先行指標として注目される。
東京都区部の消費者物価、10月の主な数字
主な指数と前年同月比は次のとおり[1]。
- 総合:103.5(2.8%上昇。9月は2.7%)
- 生鮮食品を除く総合:103.3(2.6%上昇。9月は2.7%)
- 生鮮食品とエネルギーを除く総合:103.6(2.6%上昇。9月は2.9%)
- 生鮮食品:8.6%上昇(9月は1.7%)
- エネルギー:2.2%上昇(9月は1.9%下落)
生鮮食品を含む総合は伸びが拡大し、生鮮食品を除いた指数は縮小と、指数ごとに動きが分かれた。生鮮食品とエネルギーを除く指数は2.9%から2.6%へと、0.3ポイント低下した。
電気・ガス代が前年比で上昇に転じる
エネルギーの内訳をみると、電気代は前年同月比1.7%上昇、都市ガス代は4.9%上昇した[1]。9月はそれぞれ2.6%、0.5%の下落で、10月にそろって上昇に転じた。エネルギー全体で、生鮮食品を除く総合の上昇率を0.18ポイント押し上げた。
総務省の試算では、ガソリンの暫定税率の廃止と政府の負担軽減策は、10月のエネルギーの上昇率を0.35ポイント押し下げている[1]。前年に行われていた支援の効果がはげ落ちる分を差し引いても、政策で物価を抑えている状態が続く。
水道料の押し上げが消え、食料の伸びは鈍化
伸びを縮めた最大の要因は水道料だ。9月に前年同月比5.6%上昇していた水道料は10月に0.0%となり、生鮮食品を除く総合の上昇率を0.24ポイント押し下げた[1]。生鮮食品を除く食料も3.6%上昇から3.0%上昇へと伸びが鈍り、0.12ポイントの押し下げ要因になった。
食料の中でもばらつきがある。外食は4.6%上昇で、ハンバーガーは16.4%上がった。一方、コシヒカリを除くうるち米は31.3%下落した[1]。コメの値下がりが食料全体の伸びを抑えている。
生鮮野菜は10.5%上昇、レタスは2倍超
生鮮食品は8.6%上昇と、9月の1.7%から大きく伸びた[1]。生鮮野菜が10.5%上昇し、レタスは118.3%上昇と前年の2倍を超えた。生鮮魚介も14.2%上がった。
農林水産省が同じ10月30日に公表した11月の野菜の価格見通しも、家計の負担を左右する材料になる[2]。天候で大きく動く生鮮食品は、総合指数の振れを大きくしている。
全国の10月分では、エネルギーの上昇が焦点
東京都区部の結果を全国に当てはめると、10月の全国の物価でも電気・ガス代が押し上げに回る可能性が高い。日本銀行は10月30日の展望レポートで、生鮮食品を除く消費者物価の上昇率が、原油高や半導体価格の上昇などを背景に2%を「はっきりと上回る水準」まで高まると予想した[3]。
一方で政府は、12月から電気・ガス料金の支援を始め、ガソリン補助は12月以降に段階的に縮める方針を示した[4]。支援の開始は電気・ガス代を下げ、補助の縮小はガソリン代を上げる方向に働く。年末から年明けの物価は、こうした政策の出し入れで上下しやすくなるだろう。
脚注
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 東京都区部 2026年(令和8年)10月分(中旬速報値)」(2026年10月30日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/kubu.pdf
- 農林水産省「野菜の生育状況及び価格見通し(令和8年11月)について」(2026年10月30日) https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/engei/261030.html
- 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf
- 首相官邸「中東情勢を踏まえた『緊急的激変緩和措置』の今後の対応についての高市内閣総理大臣記者会見」(2026年10月29日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/1029kaiken.html

