
法務省と厚生労働省、出入国在留管理庁は2026年10月27日、技能実習法に基づく行政処分を行ったと発表した[1]。実習生の受け入れを仲介・監督する監理団体1団体の許可を取り消し、受け入れ企業(実習実施者)2社の技能実習計画の認定も取り消した。改善命令を含め、処分の対象は計7者にのぼる。
技能実習法に基づく行政処分の内容
処分の内容と理由は次のとおり[1][2]。
- 監理団体の許可取り消し:MANPOWER LTD協同組合(広島県福山市)。複数の受け入れ企業に法令の基準どおりの監査をせず、事実と異なる監査報告書を外国人技能実習機構に提出した
- 監理団体への改善命令:協同組合アセンド(岐阜県岐南町)、ワールドネット樫協同組合(広島県福山市)
- 実習計画の認定取り消し:株式会社大山組(岐阜県岐南町、計画13件)は外国人に不法就労をさせた。萩原建設工業有限会社(東京都江戸川区、計画3件)は実習生の人権を著しく侵害した
- 実習実施者への改善命令:金原開発株式会社(富山県射水市)、株式会社宝伸(奈良県大和郡山市)
監査の形骸化が目立つ
今回の処分では、監理団体による監査の不備が共通して挙がった。許可を取り消された団体のほか、改善命令を受けたワールドネット樫協同組合も、受け入れ企業への監査を適切に行わず、その事実を隠すために虚偽の監査報告書を機構に出したと認定された[2]。協同組合アセンドは、受け入れ企業への技能実習計画の作成指導や監査が不十分だったとされた。
技能実習制度では、監理団体が受け入れ企業を定期的に監査し、計画どおりに実習が行われているかを確かめることになっている。その監査が書類の上だけで済まされれば、実習生が置かれた環境の問題は外から見えなくなる。
受け入れ企業の側でも、宝伸は実習生の人権を著しく侵害する行為を、金原開発は認定計画どおりに実習を行わせていなかったことを理由に改善命令を受けた[2]。人権侵害を理由とする処分は、認定取り消しの萩原建設工業と合わせて2社になる。
2027年4月に育成就労へ移行
技能実習制度は、2027年4月1日に始まる「育成就労制度」へ移行する[3]。厚生労働省によると、育成就労は技能実習を発展的に解消し、人材の確保が難しい分野で3年間の就労を通じて特定技能1号の水準の人材を育てる制度だ。
新制度でも、受け入れを監督する団体(監理支援機関)が企業を支える仕組みは残る。監査の不備や虚偽報告が今も相次いでいることは、移行後に団体の許可の基準や監督の実効性をどこまで高められるかが、制度の評価を左右することを示している。移行まで半年を切るなかで、既存の監理団体への監督の厳しさが新制度の運用の出発点になりそうだ。
脚注
- 厚生労働省「技能実習法に基づく行政処分等を行いました」(2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76693.html
- 厚生労働省「【別紙1〜7】監理団体に対する許可の取消しの内容ほか」(2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/content/11808000/001760942.pdf
- 厚生労働省「育成就労制度」 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_000117702_00015.html

