初の「犯罪被害者月間」始まる 週間を1か月に拡大

2026年11月1日から12月1日までの1か月間が、初めての「犯罪被害者月間」になる[1]。これまでは毎年11月25日からの1週間を「犯罪被害者週間」としていたが、政府が3月17日に閣議決定した第5次犯罪被害者等基本計画で、期間を1か月に広げた。警察庁は11月2日に羽田空港でオープニングイベントを開き、全国の警察や自治体も広報活動を行う。

犯罪被害者月間とは、週間から月間へ

犯罪被害者週間は、2005年12月に閣議決定された最初の犯罪被害者等基本計画で定められた[1]。期間は、犯罪被害者等基本法が成立した12月1日までの1週間とされてきた。基本法は2004年12月1日に成立し、犯罪被害者の権利を法律で初めて明記した[2]。

第5次計画は、犯罪被害者への支援について国民の理解を深めるため、週間を「月間化」し、毎年11月1日から12月1日までを集中的な広報啓発の期間と位置づけた[1]。10月30日の閣議では、国家公安委員会委員長が犯罪被害者等施策に関する国民の理解増進について発言した[3]。

2日に羽田、9日に有楽町でイベント

警察庁の主な行事は次のとおり[1][4]。

  • オープニングイベント:11月2日(月)10時〜11時、羽田空港第1旅客ターミナルビル2階マーケットプレイス。首相のビデオメッセージの上映や、支援の啓発動画に出演している俳優とのトークセッションなど。入場無料
  • 国民イベント「こころをつなぐ国民イベント2026」:11月9日(月)13時30分〜、東京・有楽町朝日ホール。表彰式と、犯罪被害者とグリーフケアをテーマにした基調講演

全国でも、警察本部のロビーでの啓発コーナーや、自治体の広報誌、公式LINE、防災無線を使った呼びかけなどが予定されている[5]。北海道では、警察署と町村が道の駅を回るスタンプラリーを企画している。

支援の担い手と制度、約50年の歩み

警察庁の資料によると、国の犯罪被害者支援は1981年の犯罪被害給付制度の施行から本格化し、2004年の基本法を機に、国・自治体・民間が連携して支える段階に入った[2]。2023年には国家公安委員会(警察庁)が施策の司令塔となり、警察庁に専従の課が置かれた。2025年には、被害者が窓口を回らずに済むよう支援をつなぐ「支援コーディネーター制度」が始まっている。

第5次計画は、損害の回復や経済面の支援、心身の被害の回復、刑事手続きへの関与の拡充などを重点課題に掲げ、支援の体制づくりと国民の理解の増進を両輪に据えた[2]。犯罪の被害による困難は直後だけでなく長く続くとして、「途切れることのない支援」を目指している。

1か月の期間を、窓口の周知につなげられるか

期間を4倍以上に延ばしても、それだけで支援が届きやすくなるわけではない。被害に遭った人がまず知りたいのは、どこに相談すれば、どんな支援を受けられるかだ。啓発の中身が、各都道府県の相談窓口や支援コーディネーターの存在を具体的に知らせるものになっているかが問われる。

全国の行事一覧を見ると、ロビー展示やSNSでの発信が中心で、地域によって取り組みの厚みには差がある。初めての月間を終えた後、相談件数や窓口の認知度がどう変わったかを検証し、次年度の内容に生かせるかどうかが、月間化の意味を左右するだろう。

脚注

  1. 警察庁「犯罪被害者月間」 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/koukei/week.html
  2. 警察庁長官官房犯罪被害者等施策推進課「政府における犯罪被害者等支援の取組(第5次犯罪被害者等基本計画の概要)」 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/kihon_keikaku/5th_bp_gaiyou.pdf
  3. 首相官邸「令和8年10月30日(金)午前 内閣官房長官記者会見」 https://www.kantei.go.jp/jp/tyoukanpress/202610/30_a.html
  4. 警察庁「犯罪被害者月間オープニングイベント2026」チラシ https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/koukei/weektirasi.pdf
  5. 警察庁「令和8年度 全国の犯罪被害者月間関連行事」 https://www.npa.go.jp/hanzaihigai/koukei/week/eventlist2026.pdf
おすすめの記事