
環境省、農林水産省、国土交通省は2026年10月30日、企業や自治体などが生物多様性を守る活動をしている区域として、122か所を「自然共生サイト」に認定した[1]。2026年度の2回目の認定で、これまでの認定と合わせて累計545か所になった。2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30」目標に向けた取り組みだ。
自然共生サイトの認定、今回の内訳
3省の発表による今回の認定の内訳は次のとおり[1]。
- 企業やNPOなどが作る「増進活動実施計画」:116か所(35都道府県)
- 市町村がまとめ役となり地域の団体と連携する「連携増進活動実施計画」:6か所(6道県)
- このうち農林水産業・農山漁村に関わる計画:97か所
- 累計:545か所(うち農林水産業・農山漁村関係は422か所)
連携型の6か所には、札幌市のペケレット周辺の湿地、福島県磐梯町のビオトープ、千葉県印西市の谷津の公園と緑地、神奈川県厚木市の大学キャンパス、兵庫県豊岡市のコウノトリが暮らす里地里山、北九州市の曽根干潟が選ばれた[2]。曽根干潟の計画には、地元の漁業協同組合や小学校、野鳥やカブトガニの保護団体などが加わっている。
地域生物多様性増進法、守る活動に加え「回復」も
自然共生サイトは、環境省が2023年に始めた仕組みで、2025年4月に施行された地域生物多様性増進法によって法律に基づく認定制度になった[3]。法律では、生物多様性が豊かな場所を維持する活動に加え、手入れされなくなった土地などで生物多様性を回復させたり、新たに生み出したりする活動も認定の対象に加えた。計画は有識者の審査を経て、3省の大臣が認定する[1]。
30by30と企業の自然開示
政府は2023年3月に改定した生物多様性国家戦略で、生物多様性の損失を止めて反転させる「ネイチャーポジティブ」を2030年までに実現する方針を掲げた[1]。その柱が30by30目標で、国立公園など保護地域を広げるだけでなく、里地里山や企業の緑地、都市の緑地といった身近な自然を、保護地域以外で生物多様性の保全に役立つ区域(OECM)として積み上げる必要がある[3]。
企業の側でも、自然関連の財務情報を開示する枠組み(TNFD)の広がりを背景に、自然資本への取り組みを示す動きが強まっている[3]。自社の緑地を自然共生サイトとして認定を受けることは、そうした開示の材料にもなる。
数の積み上げから、中身の継続へ
認定は1回で100か所を超える規模で進み、累計は500か所を超えた。ただ、30by30の達成には面積が問われる。小さな緑地や池を数多く認定しても、陸と海の30%という目標までの距離が縮まるかは、それぞれの区域の広さ次第だ。
認定の多くが農林水産業や農山漁村に関わる区域であることは、担い手の高齢化や耕作放棄が進む地域で、保全の活動をどう続けていくかという課題とも重なる。認定を受けた後、活動が続いているかを点検し、生き物の状態の変化を示せるかどうかが、制度の信頼性を左右することになる。
脚注
- 環境省・農林水産省・国土交通省「地域生物多様性増進法に基づく『自然共生サイト』の認定(令和8年度第2回)について」(2026年10月30日) https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/261030.html
- 農林水産省「連携増進活動実施計画 令和8年度第2回認定一覧」(別添2) https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/attach/pdf/261030-2.pdf
- 農林水産省「自然共生サイトと地域生物多様性増進法について」(別添3) https://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/b_kankyo/attach/pdf/261030-3.pdf

