
総務省は2026年10月30日、テレビの字幕放送、解説放送、手話放送の2025年度の実績を公表した[1]。NHK総合や在京キー5局などは、字幕を付ける対象となる番組の100%に字幕を付けた。一方、地方の独立県域局13局は43.1%にとどまり、放送局の規模による差が続いている。
2025年度の字幕放送、局ごとの実績
総務省は「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」で普及目標を定め、毎年度の実績をまとめている。字幕の目標の対象となる番組に占める字幕付き番組の割合は次のとおり(カッコ内は前年度との差)[1]。
- NHK総合(放送センター):100.0%(±0)
- NHK教育:98.3%(±0)
- 在京キー5局:100.0%(±0)
- 在阪準キー4局:100.0%(±0)
- 在名広域4局:100.0%(±0)
- 系列県域101局:90.4%(1.3ポイント上昇)
- 独立県域13局:43.1%(3.2ポイント低下)
- NHK BS:83.1%(9.6ポイント上昇)
- 民放キー局系BS5社(2K放送):65.4%(4.5ポイント上昇)
対象は朝6時から深夜1時までの間の連続18時間に流れる番組で、複数人が同時に話す生放送のように技術的に字幕を付けにくい番組や外国語の番組などは除かれる[1]。総放送時間に占める字幕の割合で見ると、在京キー5局は71.7%、独立県域13局は18.5%だった。
解説放送と手話放送、目標との距離
目の不自由な人向けに、画面の様子を音声で説明する解説放送は、対象番組に占める割合が在京キー5局で21.4%、NHK総合で17.5%、NHK教育で23.3%だった[1]。指針は、NHK総合や県域局以外の民放について「2027年度までに対象の放送番組の15%以上」、NHK教育は20%以上に解説を付ける目標を掲げており[2]、これらの局は目標を上回っている。系列県域101局は15.3%、独立県域13局は1.6%だった。
1週間あたりの手話放送の時間(1局平均)は、NHK教育が4時間44分、NHK総合(放送センター)が1時間21分だった。民放は在京キー5局が26分で前年度より5分減り、系列県域101局は22分だった。独立県域13局は1時間24分と民放の中で長い[1]。
独立局の字幕が伸び悩む背景
独立県域局は、東京メトロポリタンテレビジョンやテレビ神奈川、サンテレビジョンなど、全国ネットの系列に属さない13局だ[1]。系列局はキー局が制作した番組を多く流すため、キー局が付けた字幕をそのまま使える。独立局は一般に自社制作や地域の生放送の比率が高く、字幕を付ける作業を自前で担う必要がある。字幕の割合が下がったことは、こうした体制の差が数字に出ているとみられる。
総務省は2023年10月に指針を改定し、各局が取り組みを進めている[1][2]。指針はもともと2018年2月に策定され、2027年度までの普及目標を定めている。
2027年度の目標に向け、地方局の支援が課題
キー局や広域局では、字幕は対象番組のほぼすべてに付く段階に達した。次の焦点は、総放送時間に占める割合をどこまで引き上げるかと、地方局の底上げにある。災害時の情報や地域のニュースは、地元の局でしか流れないことが多い。耳の不自由な人や高齢者にとって、地域の放送に字幕が付かないことは、生活に必要な情報が届きにくいことを意味する。
自動音声認識を使った字幕の生成は技術的に進んでおり、人手の少ない局でも字幕を付けやすくなりつつある。目標年度まで残り1年余りで、独立局の43.1%がどこまで上向くかは、技術の導入と費用の支援の両面にかかっている。
脚注
- 総務省「令和7年度の字幕放送等の実績」(2026年10月30日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu09_02000399.html
- 総務省「放送分野における情報アクセシビリティに関する指針」(2023年10月改定) https://www.soumu.go.jp/main_content/000906717.pdf

