
厚生労働省は2026年10月30日、2024年度(令和6年度)の国民医療費を公表した。国民医療費は48兆8100億円で、前年度より7185億円(1.5%)増えた[1]。統計表で過去の年度と比べると、前年度の48兆915億円を上回り、過去最高を更新した[2]。人口1人あたりでは39万4300円で、7600円(2.0%)増えた。
2024年度の国民医療費、主な数字
国民医療費は、その年度に医療機関などで保険診療の対象となりうる病気やけがの治療にかかった費用の推計だ。医療保険などの給付、公費、患者の自己負担を合わせたもので、各制度の決算額にもとづく確定値として位置づけられる[1]。正常な出産や健康診断、予防接種などは含まない。
- 国民医療費:48兆8100億円(前年度比1.5%増)
- 人口1人あたり:39万4300円(同2.0%増)
- 国内総生産(GDP)に対する比率:7.60%(前年度は7.76%)
GDPに対する比率は前年度より下がった[2]。医療費の伸び(1.5%)を、名目GDPの伸び(3.7%)が上回ったためだ。
65歳以上が6割、1人あたり約81万円
年齢別にみると、65歳以上の医療費は29兆3491億円で、全体の60.1%を占めた[2]。45〜64歳が22.2%、15〜44歳が12.2%、0〜14歳が5.4%と続く。
人口1人あたりでは、65歳未満の22万2300円に対し、65歳以上は80万9800円で、約3.6倍の開きがある[2]。制度別でも、75歳以上などが入る後期高齢者医療の給付は17兆9432億円で前年度より4.3%増えた一方、現役世代が中心の医療保険等の給付は0.3%減った。医療費の伸びの多くを高齢者の医療が占めている。
入院は2.8%増、訪問看護は18.5%増
診療の種類別では、医科診療医療費が34兆8941億円で全体の71.5%を占め、1.0%増えた[2]。内訳は、入院が18兆3602億円で2.8%増、入院外(外来など)が16兆5339億円で0.9%減と、方向が分かれた。薬局の調剤医療費は8兆5742億円で1.4%増、歯科は3兆4059億円で3.4%増だった。
伸びが特に大きいのは訪問看護医療費で、6785億円と前年度から18.5%増えた[2]。規模はまだ全体の1.4%だが、在宅で療養する人が増え、医療の場が病院から自宅へと広がっていることがうかがえる。
財源は保険料5割、公費4割弱
医療費を誰が負担しているかをみると、保険料が24兆5671億円で50.3%、国と地方の公費が18兆2678億円で37.4%、患者負担などが12.2%だった[2]。保険料のうち、被保険者の負担は13兆9014億円(28.5%)、事業主の負担は10兆6657億円(21.9%)。公費のうち国庫は11兆9975億円(24.6%)を占める。
前年度と比べると、地方の公費が2.7%、被保険者の保険料が2.4%増えた。医療費の伸びは、税と保険料の両方を通じて、働く世代と自治体の負担を押し上げている。
高齢化が続くなか、負担の分け方が論点に
2024年度の伸びは1.5%と、2021年度の4.8%、2022年度の3.7%、2023年度の3.0%に比べて落ち着いた[2]。2020年度に3.2%減った後の反動増が一巡したことが背景にあるとみられる。それでも、後期高齢者医療の給付は4%を超える伸びが続く。
高齢化が進む限り、高齢者の医療費は増え続ける。外来が減って入院や訪問看護が増える構図は、医療の提供体制の見直しとも関わる。保険料と税、自己負担の配分をどう変えるかは、来年度の予算編成や診療報酬の議論でも避けて通れない論点になる。
脚注
- 厚生労働省「『令和6(2024)年度国民医療費』を公表します」(2026年10月30日) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/24/dl/R06houdou.pdf
- 厚生労働省「令和6(2024)年度 国民医療費の概況 結果の概要」(2026年10月30日) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/24/dl/R06kekka.pdf

