
総務省は2026年10月30日、携帯電話事業者の報告にもとづき、2025年度末(2026年3月末)の5Gインフラの整備状況を公表した[1]。5G基地局は4社合計で33万7875局となり、「デジタルインフラ整備計画2030」で掲げた2025年度末30万局の目標を上回った[2]。一方、高速通信に向く周波数帯「サブ6」やミリ波の整備は、2027年度の目標にまだ届いていない。
サブ6展開率は80.3%、目標の90%まで差
5Gの速さや大容量を生かすには、サブ6(3.6〜4.1ギガヘルツ帯など)やミリ波(28ギガヘルツ帯)の電波が欠かせない。総務省は、人口の多い1キロ四方の区画(1万3250区画)のうち、複数の事業者のサブ6の基地局が展開している区画の割合を「サブ6展開率」として追っている[2]。
2025年度末のサブ6展開率は80.3%で、前年度から4.8ポイント上がった[2]。ただ、2027年度末に90%とする目標には9.7ポイント足りない。都道府県別では島根県が100%に達する一方、群馬県(35.1%)、栃木県(38.6%)、茨城県(43.8%)、三重県(43.8%)など、50%に届かない県もある。
ミリ波の基地局は4社合計で4万5499局と、1年で521局しか増えていない[2]。2027年度までに5万局とする目標まで約4500局を残す。各社はスタジアムや主要駅、空港など人が集まる場所に置いているが、KDDIは当初の想定に反してトラフィックが増えていないと報告している。
5G基地局と人口カバー率、事業者別の数字
2025年度末の事業者ごとの5G基地局数と5G人口カバー率は次のとおり[2]。
- NTTドコモ:5万8979局(前年度比6447局増)、人口カバー率91.5%
- KDDI(沖縄セルラー電話を含む):12万2211局(1万2174局増)、96.0%
- ソフトバンク:12万555局(1万6114局増)、97.4%
- 楽天モバイル:3万6130局(1022局増)、65.4%
- 合計:33万7875局(3万5757局増)、98.6%
合計の人口カバー率は、各社のエリアを重ね合わせた数字だ[2]。2030年度末に全国と各都道府県で99%とする目標に、全国ではあと0.4ポイントに迫った。
本格的な5G「SA」、楽天は12月末に運用開始へ
今回の資料では、5G専用の設備で動く「スタンドアローン(SA)」方式の整備状況も示された[2]。SAは、用途に応じて通信の品質を切り分ける「ネットワークスライシング」などを使える方式で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクは主要駅やスタジアム、商業地域などで順次広げている。
楽天モバイルは、コアネットワークのSA化に向けた開発を進めており、2026年12月末ごろをめどに運用を始め、端末の検証などを経て商用化する見込みだという[2]。
「つながる」から「速い」へ、投資の重点が移る
基地局の数と人口カバー率でみれば、5Gは全国にほぼ行き渡った。ただ、サブ6の電波に限った人口カバー率は、ドコモ70.4%、KDDI56.1%、ソフトバンク53.5%にとどまる[2]。5G本来の速さを出せる場所は、まだ限られている。
同じ日に総務省が公表した電波の利用状況調査では、2026年3月の1か月に携帯各社のネットワークを流れた通信量(4Gと5Gの合計)は約414万テラバイトで、そのうち5Gが運んだのは約116万テラバイト、全体の28%だった[3]。5Gの比率は前年同期の22%から上がったものの、通信の7割以上はなお4Gが担っている。サブ6とミリ波の目標に届いていないことは、利用者が5Gの速さを実感しにくい現状を映している。
楽天モバイルの人口カバー率は65.4%と、他の3社と開きがある。
事業者間の差や、都道府県ごとのサブ6展開率の差を縮めるには、基地局を複数の事業者で共有する「インフラシェアリング」の活用も鍵になる。整備計画は2030年度末に基地局60万局、そのうち30万局をインフラシェアリングでまかなう目標を掲げる[2]。利用状況調査によると、全国BWAを含む5G基地局34.7万局のうち、すでに19.0万局が設備を共有している[3]。共有をさらに進めつつ、各社の投資余力と国の支援をどう組み合わせるかが問われる。
脚注
- 総務省「デジタルインフラ整備計画2030に基づく5Gインフラの整備状況(令和7年度末)の公表」(2026年10月30日) https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000810.html
- 総務省移動通信課「デジタルインフラ整備計画2030に基づく5Gインフラの整備状況(令和7年度末)」別紙(2026年10月) https://www.soumu.go.jp/main_content/001098807.pdf
- 総務省移動通信課「令和8年度携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の結果について(概要版)」(2026年10月30日) https://www.soumu.go.jp/main_content/001098796.pdf

