
半導体製造装置大手の東京エレクトロンは2026年10月30日、2027年3月期の中間決算(2026年4〜9月)を発表した[1]。売上高は前年同期比41.3%増の1兆6674億円、営業利益は67.2%増の5067億円で、半期として過去最高となった[2]。今期は通期の業績予想を出していなかったが、今回初めて示し、売上高3兆7000億円、営業利益1兆1690億円を見込む[1]。
東京エレクトロンの中間決算、主な数字
決算短信に示された中間期の業績は次のとおり[1]。
- 売上高:1兆6674億円(前年同期比41.3%増)
- 営業利益:5067億円(67.2%増)
- 経常利益:5144億円(67.6%増)
- 親会社株主に帰属する中間純利益:3769億円(56.0%増)
7月30日時点の上期の会社予想(売上高1兆6200億円、営業利益4580億円)も上回った[2]。7〜9月期だけでみると、売上高は9350億円で、4〜6月期より27.7%増えた。営業利益率は31.6%に上がった。
通期予想は売上高3兆7000億円、すべての利益で過去最高
同社は今期から通期予想の開示をやめ、上期の予想だけを示していた。今回示した通期予想は次のとおり[1][2]。
- 売上高:3兆7000億円(前期比51.4%増)
- 営業利益:1兆1690億円(87.1%増)
- 当期純利益:8650億円(50.6%増)
下期の売上高は2兆325億円と、上期をさらに上回る計画だ[2]。新規の半導体製造装置の売上高は下期に1兆5600億円を見込み、通期では前期比59%の伸びになる。
AIデータセンター向けが需要をけん引
同社は、半導体の前工程の製造装置(WFE)の市場規模を、2026年に1600億ドル程度、2027年に2100億ドル以上と見込む[2]。生成AIに加え、自律的に作業をこなすエージェント型AIの広がりで、GPUや高帯域メモリ(HBM)、DRAM、NANDなど幅広い半導体の需要が増えるとみている。
7〜9月期の新規装置の売上の内訳は、DRAMが31%、不揮発性メモリが10%、ロジックやファウンドリなどが59%だった[2]。地域別では中国向けが3399億円で最も多く、韓国、台湾が続いた。熊本の地震の影響を受けた塗布現像装置や洗浄装置の部門は、上期の売上高が前の下期比で50%超伸びたとしている。
配当は過去最高の191円、自社株買いは最大1500億円
株主還元では、年間配当を過去最高の1株191円(株式分割前に換算して955円)とする予想を示した[2]。中間配当は分割前で415円。あわせて、11月1日から2027年3月31日までに最大2500万株・1500億円の自社株買いを行う枠を設けた[3]。発行済み株式(自己株式を除く)の1.1%にあたる。
研究開発費は今期3350億円と前期の2778億円から増やす計画で、宮城県大和町では2027年夏の完成を予定する生産拠点の整備も進める[2]。
装置市場の拡大がどこまで続くか
同じ日に経済産業省が発表した9月の鉱工業生産でも、半導体製造装置を含む生産用機械が生産を押し上げた[4]。東京エレクトロンの好決算は、国内の生産統計とも重なる動きだ。
一方で、通期予想は2027年まで装置市場が大きく伸びるという見立てが前提になっている。AI関連の投資に見合う収益が得られなければ、半導体メーカーの投資が鈍るリスクもある。日本銀行も展望レポートで、AI投資の収益が見合わない場合の調整に注意を促している[5]。下期に1兆5600億円の新規装置の売上を実現できるかが、今期の業績の分かれ目になる。
脚注
- 東京エレクトロン「2027年3月期 第2四半期(中間期)決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年10月30日) https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/fy27q2tanshin-j.pdf
- 東京エレクトロン「2027年3月期第2四半期 決算説明会資料」(2026年10月30日) https://www.tel.co.jp/ir/irta3a00000006g5-att/fy27q2presentations-j2.pdf
- 東京エレクトロン「自己株式の取得枠設定に関するお知らせ」(2026年10月30日) https://www.tel.co.jp/news/ir/2026/l66lcm00000000iu-att/20261030_003.pdf
- 経済産業省「2026年9月の鉱工業(生産・出荷・在庫)指数の動向(速報)」(2026年10月30日) https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result/pdf/press/b2020_202609sj.pdf
- 日本銀行「経済・物価情勢の展望(2026年10月)基本的見解」(2026年10月30日) https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2610a.pdf

