
総務省は2026年10月23日、サービス産業動態統計調査の8月分(速報)を公表した[1]。8月のサービス産業の月間売上高は37.4兆円で、前年同月比3.6%増と58カ月連続の増加だった[1][2]。ただ、伸び率は7月の5.0%から1.4ポイント縮み、この1年で最も低い水準に並んだ[1]。
8月のサービス産業売上高、産業別の伸び
調査は、運輸や情報通信、医療・福祉など幅広いサービス業の事業所に毎月の売上高を尋ねるもので、GDPの四半期速報の精度を高める目的もある[1]。産業別の結果は次のとおり[1]。
| 産業 | 売上高 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 情報通信業 | 6.40兆円 | 3.3%増 |
| 運輸業、郵便業 | 6.25兆円 | 6.9%増 |
| 医療、福祉 | 5.71兆円 | 5.1%増 |
| 不動産業、物品賃貸業 | 5.11兆円 | 2.1%増 |
| 生活関連サービス業、娯楽業 | 4.14兆円 | 3.1%増 |
| サービス業(他に分類されないもの) | 3.84兆円 | 3.3%増 |
| 学術研究、専門・技術サービス業 | 2.81兆円 | 0.7%減 |
| 宿泊業、飲食サービス業 | 2.78兆円 | 3.3%増 |
| 教育、学習支援業 | 0.37兆円 | 1.7%増 |
9つの産業のうち8つで売上高が増え、減ったのは学術研究・専門・技術サービス業だけだった[1]。
運輸と医療・福祉が伸びをけん引
全体の3.6%増のうち、運輸業・郵便業だけで1.11ポイント、医療・福祉で0.77ポイント、情報通信業で0.57ポイントを押し上げた[1]。3つの産業で全体の伸びの約7割を占めた計算になる。
道路貨物運送などを含む運輸業・郵便業は65カ月連続、医療・福祉は24カ月連続、情報サービスなどを含む情報通信業は53カ月連続の増加となった[2]。
伸び率はこの1年で最も低い水準
サービス産業計の前年同月比は、2025年9月に8.3%だったが、2026年に入ってからは3〜5%台で推移している[1]。8月の3.6%は、5月と並んで過去1年で最も低い[1]。
なお、この調査は2025年1月に旧調査を統合して始まったもので、母集団の情報や対象の事業所が入れ替わっているため、総務省は時系列の比較には注意が必要だとしている[1]。
物価を差し引くと伸びは小さく
売上高は物価の変動を含む名目の数字だ。同じ8月の消費者物価指数(総合)は前年同月比1.9%上昇だった[3]。単純に差し引けば、物価分を除いた実質的な伸びは2%に届かない。58カ月連続の増加という見出しの数字ほど、サービス需要の勢いは強くない可能性がある。
一方、運輸や医療・福祉のように、人手不足や高齢化を背景に需要が底堅い分野は、伸び率が全体を上回り続けている。9月の消費者物価は伸びが高まっており[3]、9月分の売上高でサービス需要がどこまで物価上昇についていけるかが見えてくる。
脚注
- 総務省統計局「サービス産業動態統計調査 2026年(令和8年)8月分(速報)」報道資料(2026年10月23日) https://www.stat.go.jp/data/mbss/kekka/pdf/m202608rprt.pdf
- 総務省統計局「サービス産業動態統計調査 2026年8月分結果(速報)のポイント」(2026年10月23日) https://www.stat.go.jp/data/mbss/kekka/pdf/m202608pt.pdf
- 総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)9月分」(2026年10月23日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf

