
菓子大手の不二家は2026年10月26日、2026年12月期の連結業績予想を下方修正した[1]。親会社株主に帰属する当期純利益は8億5000万円と、2月時点の予想(21億円)から59.5%引き下げた。7〜9月に記録的な長雨や熊本の震災、値上げに伴う消費者の買い控えが重なり、売上高が計画を約6%下回ったという[1]。
同日発表した1〜9月期の決算では、売上高は前年同期比4.4%増の876億5900万円だったが、営業損益は1億1300万円の赤字(前年同期は10億6900万円の黒字)となった[2]。
不二家の下方修正、営業利益は半減の16億円
修正後の通期予想と、2月時点の予想・前期実績の比較は次のとおり[1]。
- 売上高:1250億円 → 1230億円(1.6%減の修正。前期は1195億5800万円)
- 営業利益:32億円 → 16億円(50.0%減の修正。前期は28億4000万円)
- 経常利益:36億5000万円 → 22億円(39.7%減の修正。前期は36億900万円)
- 純利益:21億円 → 8億5000万円(59.5%減の修正。前期は20億3100万円)
修正後の予想は、前期と比べると営業利益で43.7%、純利益で58.2%の減益になる[2]。年間配当は1株30円の予想を据え置いた[2]。
7〜9月に何が起きたか
不二家は7月の中間決算の段階では通期予想を変えていなかった。飲料の出荷が6月以降想定を上回っていたことや、洋菓子店で手に取りやすい価格帯の商品や新業態の店舗を出して客数が戻りつつあったこと、菓子の売り上げが7月以降も順調に推移するとみていたことが理由だった[1]。
ところが7〜9月期は、長雨や豪雨、熊本の震災の影響に加え、節約志向の強まりで買い控えが起きた。会社の説明では、洋菓子事業では高価格帯の製品、菓子事業では主力の大袋製品の売れ行きが鈍かった[1]。利益面では、中東情勢を背景に包材やエネルギーの価格が上がり、想定を超えるコスト負担になった[1]。
事業別にみると、洋菓子の落ち込みが目立つ
1〜9月の事業別の売上高を前年同期と比べると、明暗がはっきり分かれる[2]。
- 洋菓子:167億300万円(4.6%減)
- レストラン:45億2700万円(3.6%減)
- 菓子:592億8800万円(5.9%増)
- 飲料:44億2600万円(44.7%増)
洋菓子チェーンの不二家洋菓子店は9月末時点で815店と、前年同期より38店少ない[2]。生ドーナツなどの新商品や新業態の出店で客足を取り戻そうとしているが、店舗数の減少と天候不順が響き、単体の洋菓子事業は前年を下回った[2]。
菓子と飲料は売り上げを伸ばしたものの、原材料コストの上昇や新しい設備の減価償却費を吸収できず、全体では営業赤字になった[2]。売上高が増えても利益が出ない構図は、価格を上げにくい中でコストだけが積み上がる食品メーカーの苦しさを映している。
年末商戦の売れ行きが着地を左右する
不二家にとって10〜12月はクリスマスケーキなどがある最需要期だ。会社はこの期間も値上げへの節約志向が続くとみて、通期予想に織り込んだ[1]。1〜9月の営業損益が赤字である以上、修正後の営業利益16億円を確保するには、年末の3か月で17億円程度を稼ぐ必要がある計算になる。
会社は今後、洋菓子事業で新設備を使った製品開発を進め、菓子事業でも用途に合わせた商品を出して開発のスピードを上げるとしている[1]。値上げが続く中で消費者が「少し高い菓子」を選ぶかどうかは、親会社の山崎製パンを含む食品業界全体の課題でもある。クリスマス商戦の予約状況と、12月期の本決算で示される来期の価格戦略が、次の判断材料になるだろう。
脚注
- 不二家「2026年12月期通期業績予想の修正に関するお知らせ」(2026年10月26日) https://www.fujiya-peko.co.jp/assets/pdf/financial_20261026_02.pdf
- 不二家「2026年12月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年10月26日) https://www.fujiya-peko.co.jp/assets/pdf/financial_20261026_01.pdf

