コメ農家の在庫、6月末363キロ 前年比41%増

農林水産省は2026年10月28日、生産者の米穀在庫等調査の結果を公表した。2026年6月30日時点のコメ農家の在庫は1農業経営体あたり363キロ(玄米換算)と、前年同時期より41.2%多かった[1]。比較できる2019年以降で最も多い。流通段階の民間在庫が近年にない水準に積み上がるなか、農家の手元でもコメが余っている実態が数字で示された。

コメ農家の在庫、6月末時点の調査結果

  • 1経営体あたりの在庫量:363キロ(前年257キロ、106キロ増・41.2%増)
  • うち精米を除く在庫量:349キロ(前年245キロ、42.4%増)

この調査は、7月27日に公表した2025年の調査で「見込み」として示した6月末の在庫量を、改めて実績として調べ直したものだ。7月時点の見込み(精米を除く354キロ)よりはわずかに少なかったが、前年からの大幅な増加は変わらなかった。

6月末の在庫量を年ごとに並べると、2019年298キロ、20年257キロ、21年283キロ、22年292キロ、23年321キロ、24年311キロ、25年257キロで、今年の363キロは突出している[1]。

収穫は1割増、売り切れずに残る

在庫が増えた理由は、7月に公表された2025年の調査から読み取れる[2]。2025年6月から26年5月までの1年間で、1経営体あたりの収穫量は1万1861キロと前年より9.9%増え、販売量も9.8%増の1万1090キロだった。ほぼ同じ割合で増えたものの、収穫が増えたぶん手元に残る量も膨らみ、26年5月末の在庫は474キロと前年より32.0%多かった。

流通段階でも同じ傾向が出ている。農林水産省の集計では、出荷・販売段階の民間在庫(うるち米)は26年6月末に194万トンで、前年同月より72万トン多かった[3]。前年は品薄で価格が高騰した時期にあたり、1年で需給の状況が逆転した。

新米の値下がりにつながる在庫

こうした在庫の積み上がりは、2026年産の新米の価格に表れている。9月の相対取引価格は全銘柄平均で玄米60キロ2万1293円と前年同月より42%安かった[4]。

農家の手元に前年産のコメが多く残っていれば、新米の出荷と重なって販売先の確保が難しくなる。消費者にとっては店頭価格の下落につながる一方、生産者にとっては在庫を抱えたまま価格が下がる二重の負担になる。

作付けの判断が問われる年末

今回の数字は、農家と流通の両方に余剰が積み上がった状態で2026年産の出荷期を迎えたことを示している。在庫の調整が進まなければ、価格の下落は2027年産の作付けの判断にも影響する。27年産の作付けに向けた各産地の動きと、農林水産省が2027年1月に予定する詳細な数値の公表が、次の判断材料になる。

脚注

  1. 農林水産省「令和7年 生産者の米穀在庫等調査結果(令和8年6月30日現在の在庫量)」(2026年10月28日) https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kome_zaiko/pdf/kome_zaiko2610.pdf
  2. 農林水産省「令和7年 生産者の米穀在庫等調査結果」(2026年7月27日) https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/kome_zaiko/pdf/kome_zaiko25.pdf
  3. 農林水産省「民間在庫の推移(速報)」(2026年7月28日) https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/attach/pdf/260728-2.pdf
  4. 農林水産省「令和8年産米の相対取引価格・数量について(令和8年9月)」(2026年10月16日) https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/kikaku/261016.html
おすすめの記事