若者・女性の転出が課題 内閣府、Uターン希望4割に

内閣府は2026年10月23日、「地域課題分析レポート-若者や女性に魅力ある地域となるために-」を公表した[1][2]。地方から若者や女性の転出が続けば担い手不足が進み、地域経済の発展が妨げられる可能性があると分析した[2]。あわせて、2月末以降の中東情勢の緊迫化が地域ごとの景気に与えた影響も整理している[2]。

若者・女性の転出、レポートが示した主な数字

  • 地域別の人口は、南関東を除いて全国的に転出超過の傾向。多くの地域で女性の転出超過が男性を上回り、10代後半〜20代前半の転出が大きい[2]
  • 地元外に進学した学生がUターン・地元就職を望む割合は、コロナ禍を除き5割程度で推移してきたが、2026〜27年卒は4割程度に下がった(マイナビの調査をもとに内閣府が作成)[2]
  • 人口1万人未満の市町村では、病院や介護老人保健施設がある自治体の割合が3割未満[2]
  • 人口1万人未満の自治体の割合は、2025年の31.2%から2050年には42.6%に上がると予測される[2]

進学と就職の2段階で都市圏へ

レポートは、若者が地方を離れるきっかけを二つの段階に分けて示した。一つは大学進学で、地方には大学が少なく、進学の希望を満たせずに都市圏の大学へ移る面があるとした[2]。2021〜2025年度の大学入学者の動きでは、北関東の高校出身の進学者のうち南関東の大学に進んだ人が43.8%と、地元の北関東(39.7%)を上回った[2]。四国も地元進学は43.2%にとどまる[2]。

もう一つは就職だ。学生が企業選びで重視するのは男女とも安定性や給与で、女性はやりたい仕事や福利厚生も重視する[2]。地元就職を望まない理由には「志望する企業・職種がない」「希望のキャリアを築けない」が挙がり、学生に人気の情報通信業や金融・保険業が都市圏に集中していることも、都市圏が選ばれる理由だと分析した[2]。

地方は人手不足倒産の割合が高い

地方圏では製造業や農林漁業の有効求人倍率が高く、規模の小さい企業の求人が多い[2]。そのなかで、倒産件数全体に占める人手不足倒産の割合は、都市圏に比べて地方圏の方が高いという[2]。若者の転出は、働き手の不足を通じて地域の企業の存続にも響いている。

レポートは、若者を呼び込めている例として、宇宙産業の集積を進める北海道大樹町、半導体を含む企業誘致を進めた北海道千歳市と岩手県北上市、眼鏡製造の地場産業がある福井県鯖江市を挙げた[2]。北上市では1人あたりの雇用者報酬が県全体や周辺市町村を上回り、高い賃金が地域の魅力になっているとした[2]。女性については、在宅勤務などの柔軟な働き方ができる地域ほど若い女性の転出が少ない傾向があるとしている[2]。

中東情勢、灯油やガソリンの比重が高い地域で影響

第1章では、2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃に端を発した中東情勢の緊迫化後、景気ウォッチャー調査の現状判断DIが大きく下がり、その後は改善したと整理した[2]。下がり幅が大きかったのは北陸、甲信越、東北で、これらの地域ではコメントのうち中東情勢に触れたものの割合も全国より高かった[2]。

内閣府は、東北、北関東、甲信越、北陸ではガソリンや灯油などの燃料が家計の消費に占める比重が高く、消費者心理への悪影響が強く出た可能性があるとみている[2]。雇用面では、2026年の春季労使交渉で賃上げ率が3年連続で5%台となり、中小の組合の賃上げ率が全体を上回った県は2025年の5県から9県に増えた[2]。

賃金と働き方で都市圏と競えるか

レポートが挙げた成功例は、いずれも半導体や宇宙、眼鏡といった専門性の高い産業の受け皿がある自治体だ。逆に言えば、学生が望む業種や賃金水準を用意できない地域では、Uターン希望の低下を押し戻すのは難しい。Uターン希望が5割程度から4割程度に下がったという数字は、地元に戻る選択肢そのものが学生の意識から外れつつあることを示している。

燃料価格の上昇が北陸や東北の景況感を強く押し下げたという分析も、地方の暮らしが車と灯油に支えられている現実を映す。政府が燃料油補助の見直しを検討するなかで[3]、こうした地域差をどこまで制度に反映させるかも、地方の負担を左右することになる。

脚注

  1. 内閣府「経済財政白書/経済白書・世界経済の潮流・地域の経済(地域課題分析レポート)」 https://www5.cao.go.jp/keizai3/whitepaper.html
  2. 内閣府政策統括官(経済財政分析担当)「地域課題分析レポート~若者や女性に魅力ある地域となるために~【概要】」(2026年10月) https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr26-2/chr26-2youyaku.pdf
  3. 首相官邸「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置等についての会見」(2026年10月23日) https://www.kantei.go.jp/jp/105/statement/2026/1023kaiken.html
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