
政府は2026年10月27日、首都直下地震などで東京が被災したときに首都機能を代わりに担う「副首都」の指定要件を定める政令を閣議決定した[1]。副首都の整備などを定めた法律は10月30日に施行され、首相を本部長とする推進本部が発足する。政府は23日の閣議で、施行日と推進本部の組織を定める政令も決めていた[1]。
要件の数値は、10月3日に意見公募(パブリックコメント)にかけた案から変わっていない[5]。法律の施行で、副首都づくりは制度の設計から実際の指定に向けた段階に移る。
決まった副首都の指定要件
27日に決まった施行令の要綱によると、副首都に指定されるには、次の3つの要件をすべて満たす必要がある[2]。
- 国の行政機構:国の地方支分部局(出先機関)が14以上置かれている市町村があること
- 人口と経済の集積:全国人口の1.2%以上を占める市町村があり、その道府県の県内総生産が過去3年平均で国内総生産の2.1%以上であること
- 地方行政体制:特別区が設けられていること(設置の告示を含む)か、指定都市と道府県が連携協約を結び、副首都の施策を進める内部組織を共同で置いていること
このほか、東京が被災しても同時に被害を受けにくい地域であることが前提になる。具体的には、首都直下地震の緊急対策区域や、東京圏を含む火山の災害警戒地域に当たらないことを求めた[2]。
指定は道府県の申し出から
法律の要綱によると、副首都の指定は首相が行うが、出発点は道府県からの申し出だ。名乗りを上げる前に、その道府県の議会で議決しておくことが条件になる[3]。指定は官報で告示した時点で効力が生じ、要件を満たさなくなれば、首相はその副首都の意見を聞いたうえで指定を解除できる。
指定された副首都ごとに、推進本部が「副首都整備方針」を定める。整備の目標や、産業競争力の強化、交通網など都市基盤の整備、国の機関の拠点整備などを盛り込み、作る前には副首都の知事の意見を聞いて尊重する[3]。
推進本部は全閣僚で構成
30日に発足する「国家社会機能継続性確保施策・副首都整備推進本部」は、首相が本部長を務め、官房長官と担当大臣が副本部長、それ以外の全閣僚が本部員となる[3]。事務局には事務局長、事務局次長、審議官、参事官3人以内を置き、いずれもほかの職との兼務とする[4]。
政府は施行から1年以内に、副首都や首都機能の代替地域が担う機能などを定める基本方針をつくる。施行日から2031年3月31日までを「集中推進期間」として施策を集中的に進め、毎年、実施状況を国会に報告する[3]。
国会と裁判所のバックアップは別途検討
法律は、国会と裁判所の機能を代替する方法について、それぞれ国会と裁判所で検討するとし、結果を基本方針に反映させるとしている[3]。三権のうち行政だけを移しても、立法や司法が止まれば国の機能は保てない。基本方針の段階で、三権のバックアップをどこまで一体で描けるかが試される。
制度の器はこれでそろったが、指定に向けた議会の議決や、特別区の設置か連携協約かという行政体制づくりは、自治体側の判断にかかる。施行後1年以内に定める基本方針で、平時から副首都にどの機能を置くのかが示されるかどうかが、手を挙げる自治体の判断材料になる。
脚注
- 内閣官房「『国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令』等の閣議決定について」(2026年10月27日) https://www.cas.go.jp/jp/houdou/20261027.html
- 内閣官房「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令案要綱」 https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20261027/fukushuto_03.pdf
- 内閣官房「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律要綱」(施行期日を定める政令の資料に添付) https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20261027/fukushuto_01.pdf
- 内閣官房「国家社会機能継続性確保施策・副首都整備推進本部令案要綱」 https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20261027/fukushuto_02.pdf
- 内閣官房「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律施行令等案に関する意見募集」(2026年10月3日) https://www.cas.go.jp/jp/houdou/20261003.html

