
中外製薬が2026年10月27日に発表した2026年12月期第3四半期(1〜9月)の連結決算は、売上収益が前年同期比17.2%増の1兆681億円、Core営業利益が19.0%増の5361億円だった[1][2]。Core営業利益は通期予想の80.0%に達し、会社は通期予想に対して「過達を見込む」としている。業績予想そのものは1月に公表した数字から変えていない。
中外製薬の1〜9月期決算、主な数字
中外製薬は、一時的な要因などを除いた「Core」ベースの数字を経営の指標にしている[2]。
- 売上収益:1兆681億円(17.2%増)
- うち国内製商品売上高:4063億円(18.2%増)
- うち海外製商品売上高:5005億円(11.0%増)
- うちその他の売上収益:1613億円(37.7%増)
- Core営業利益:5361億円(19.0%増)
- Core四半期利益:3847億円(20.2%増)
国際会計基準(IFRS)ベースでは、営業利益が21.6%増の5226億円、四半期利益が22.8%増の3753億円だった[2]。
輸出とロイヤルティが伸びる
海外では、スイスの皮膚科製薬会社ガルデルマに導出した皮膚疾患薬「NEMLUVIO」の同社向け輸出が大幅に増え、親会社ロシュ向けの肺がん治療薬「アレセンサ」の輸出も伸びた[2]。その他の売上収益は、血友病A治療薬「ヘムライブラ」とNEMLUVIOのロイヤルティ収入に一時金収入が加わり、4割近く増えた。
国内は薬価改定や後発品の浸透の影響を受けながらも、ポライビー、ヘムライブラ、バビースモといった主力品と、新製品のルンスミオ、エレビジスが売上を伸ばした[2]。費用面では、研究開発費が9.6%増の1412億円と膨らんだ。製品構成の変化で製商品原価率は34.7%と1.6ポイント上がった。
国内の伸びには出荷前倒しも
注意が要るのは、国内の売上に一時的な上乗せが含まれている点だ。会社は、国内事業所で次世代の基幹業務システム(ERP)を稼働させる準備として、医薬品卸向けの出荷を7〜9月期に前倒しした[2]。前倒し分は本来の出荷時期の売上を先取りしたものなので、10〜12月期には反動が出る可能性がある。
通期予想は売上収益1兆3450億円(前期比6.9%増)、Core営業利益6700億円(7.5%増)だ[2]。1〜9月で売上収益は79.4%、Core営業利益は80.0%を達成しており、単純に4等分した目安の75%を上回る。反動を見込んでもなお予想を上回るとみていることが、会社の「過達を見込む」という表現に表れている。
開発パイプラインも前進
研究開発では、自社の抗体技術を使った「エンスプリング」が甲状腺眼症の治療薬として米食品医薬品局(FDA)の承認を得た[1]。ルンスミオ(再発・難治性の濾胞性リンパ腫)とセーファキセルセン(IgA腎症)の第3相試験は、いずれも中間解析で主要評価項目を達成した。ヘムライブラは、自己注射の負担を減らすオートインジェクター製剤を2027年に国内外で発売することを目指す。
好業績の柱であるロイヤルティや輸出は、ロシュグループや導出先の販売に左右される。自社創製品の価値を海外で収益化する仕組みが、国内の薬価引き下げを補う構図は今期も続いた。年間配当は132円の予想を維持している[2]。
脚注
- 中外製薬「2026年12月期第3四半期連結決算」(2026年10月27日) https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20261027170000_1629.html
- 中外製薬「2026年12月期 第3四半期決算短信〔IFRS〕(連結)」(2026年10月27日。決算短信・補足資料のページに掲載) https://www.chugai-pharm.co.jp/ir/reports_downloads/tanshin.html

