ドコモ、フィジカルAI基盤を開発 年齢で動作を制御

NTTドコモは2026年10月27日、利用者が日常で使うAIエージェントと、さまざまなロボットをつなぐフィジカルAIの基盤「Physical AI連携基盤」を開発したと発表した[1]。利用者の年齢などの情報をもとに、ロボットにさせてはいけない動作を実行前に止める仕組みを組み込んだのが特徴だ。11月18日から開かれる「NTT R&D FORUM 2026」でデモを展示する[1][2]。

フィジカルAIは、AIの判断をロボットなどを通じて現実の空間での作業に結びつける技術や考え方を指す。工場の外、店舗や家庭といった人のいる場所でロボットを動かすための「交通整理役」を、通信会社が担おうとする試みといえる。

ドコモのフィジカルAI基盤、3つの機能

ドコモの説明によると、基盤の機能は次の3つに分けられる[1]。

  • 連携:AIエージェント同士が協調するための標準的な通信規約「A2A」を使い、接続方法の異なる複数のロボットに指示を届ける
  • 制御:利用者の属性と、場面ごとに登録したルールを照らし合わせ、許されない指示はロボットに送らない。誰の指示でいつ何をしたかを記録する
  • 配慮:周りの状況に応じて、人に不安や不快感を与えない動き方をAIが自動で組み立てる

A2Aの接続そのものは既存の規約を使い、権限の判定、履歴の追跡、周囲に合わせた振る舞いの生成はドコモが独自に開発したという。年齢などの属性情報は基盤の中で管理し、ロボット側には動作の指示だけを渡す設計にしている[1]。

飲食店の配膳で想定する使い方

ドコモが例に挙げるのは飲食店だ。利用者が自分のAIエージェントで注文すると、基盤がふさわしい配膳ロボットを選んで動かす。このとき、未成年の利用者にはお酒を、アレルギーのある利用者には該当する料理を運ばないよう自動で判断する。配膳の途中で人が前に出てくれば、よけて進む[1]。

店員が年齢確認やアレルギーの聞き取りで担ってきた判断を、ロボットの手前の層で肩代わりする発想だ。ロボットごとに安全機能を作り込むのではなく、指示の通り道に関所を置くことで、メーカーの違うロボットにも同じルールを当てはめられる。

背景にある3つの課題

ドコモは、人の生活空間でAIとロボットを組み合わせるには3つの壁があったとしている。ロボットごとに接続方法が違ってつなぐたびに個別の開発が要ること、その場面で許される動作かを判断して止める仕組みがないこと、そしてロボットの動きが人に心理的な不安を与えてしまうことだ[1]。今回の基盤は、この3つにそれぞれ対応する形で組み立てられている。

実用化には責任の線引きが課題に

ドコモは今後、社内での展開に加え、ロボットメーカーとの共同研究や事業者との実証実験を視野に、実用性を確かめるとしている[1]。発売時期や料金はまだ示していない。

動作の履歴を残す機能は、事故やトラブルが起きたときに「誰の指示で何が起きたか」を後から確かめる手がかりになる。一方で、判定に使うルールを誰が作り、誤って止めた・止め損ねた場合に店とロボットメーカー、基盤の提供者のどこが責任を負うのかは、これから詰める必要がある。年齢やアレルギーといった個人情報を扱う以上、利用者の同意の取り方も実証で確かめるべき論点になりそうだ。11月のフォーラムでの展示は、事業者がこの仕組みをどう評価するかを測る最初の場になる。

脚注

  1. NTTドコモ「AIとロボットが人と安全・快適に共存する世界へ、Physical AI連携基盤を開発」(2026年10月27日) https://www.docomo.ne.jp/info/news_release/2026/10/27_02.html
  2. NTT「NTT R&D FORUM 2026」公式サイト https://www.rd.ntt/forum/2026/
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