
タイトーは2026年10月30日、国産初とされるクレーンゲーム機「クラウン602」(1965年発表)を探すプロジェクトの中で見つけた後継機「クラウン603」を、約60年ぶりに完全に動く状態へ復元したと発表した[1]。修理は同社の技術サポート部門「TAITOTECH(タイトーテック)」が担った。11月6日、7日に開かれる業界展示会「アミューズメントエキスポ2026」の同社ブースで展示する。
タイトーのクレーンゲーム機復元、発表のポイント
タイトーの発表による主な内容は次のとおり[1]。
- 対象:国産初とされる「クラウン602」の直系の後継機「クラウン603」
- 修理:経年劣化した配線や配電回路を安全面と耐久性に配慮して作り直し、硬貨の投入からプレイ終了までの動作を復元
- 外装:木製の筐体やアクリル製の装飾の傷を直し、当時の見た目と動作音を取り戻した
- 今後:自社の資料として保管し、イベントや展示会で公開する。まず11月のアミューズメントエキスポ2026で展示
なお、1965年には国産のクレーンゲーム機が複数発売されたとも言われており、同社は「国産初」に注記を付けている[1]。
「クラウン602」捜索に4400件超の情報
タイトーは、日本のアーケードゲーム文化の源流と技術の財産を受け継ごうと、2025年秋からウェブやSNSでクラウン602の情報提供を呼びかけていた[1]。2026年3月30日に公表した捜索報告によると、寄せられた情報は4400件を超えた[2]。
結局、クラウン602そのものは特定できなかった[2]。その代わり、捜索の過程で後継機のクラウン603の所在が分かった。3月の時点では、筐体は残っているものの動くかどうかは不明とされ、同社はベテランの技術者によるオーバーホールで稼働を目指すとしていた。今回の発表は、その結果の報告になる。
レトロ筐体の保守も担う技術部門
TAITOTECHは、全国のゲームセンターなどの運営を支えるため、最新の機器から古い筐体まで保守を手がける部門だ[1]。法人向けのウェブサイトを通じて、部品の販売やトラブルへの対応も行っている。担当者は発表の中で、603が再び動いた瞬間について、約60年分の時間が「一気につながったように感じました」と振り返った。
担当者によれば、古い機器は状態を見ながら一つずつ手を入れる必要があり、分解できるところは分解して内部を確かめ、修繕を重ねたという[1]。
遊びの歴史を「動く実物」で残す意味
ゲーム機は、新しい機種が出ると古いものが捨てられやすく、草創期の筐体は記録ごと失われがちだ。今回、602の実物が見つからなかったことも、その難しさを物語る。それだけに、後継機を動く状態で残せたことは、日本の娯楽産業の歴史を伝える貴重な資料になる。
クレーンゲームは、いまも多くのゲームセンターで親しまれている。その原点に近い機械が展示会で実際に動く姿を見せれば、業界の歩みを知るきっかけにもなる。保存と公開を企業がどう続けていくかは、ゲーム文化の継承という点でも注目される。
脚注
- タイトー「国産初のクレーンゲーム機『クラウン602』捜索で発見された後継機『クラウン603』が約60年ぶりに復活!」(PR TIMES、2026年10月30日) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000860.000041970.html
- タイトー「国産初のクレーンゲーム機『クラウン602』を探すプロジェクト【捜索報告】」(2026年3月30日) https://www.taito.co.jp/mob/topics/47223

