
日本政策金融公庫(日本公庫)総合研究所は2026年10月28日、全国中小企業動向調査(7〜9月期実績)の結果を公表した[1]。原則従業員20人以上の中小企業の景況は、業況判断DIが前期から4.5ポイント上がって7.2となり、「持ち直しの動きがみられる」との判断を据え置いた。一方、原則従業者20人未満の小企業は業況判断DIが▲23.1と前期からほぼ変わらず、「持ち直しの動きに足踏みがみられる」との判断が続いた。
中小企業の景況、規模で分かれる向き
同じ「中小」でも、規模によって景況感の向きが違う。従業員20人以上の企業は業況・売上・利益のいずれも上向いたのに対し、小企業は売上DIのマイナス幅がわずかに縮んだだけで、採算DIは悪化した。主な指標は次のとおりだ。カッコ内は前期からの変化幅[1]。
- 中小企業(原則従業員20人以上):業況判断DI 7.2(+4.5)、売上DI 18.2(+2.9)、純益率DI 0.3(+4.3)
- 小企業(原則従業者20人未満):業況判断DI ▲23.1(+0.2)、売上DI ▲10.9(+0.1)、採算DI ▲13.2(-1.8)、資金繰りDI ▲21.8(-1.9)
先行きの見通しにも差がある。中小企業の業況判断DIは来期以降も上がる見通しだが、小企業は10〜12月期に▲26.1へマイナス幅が広がるとみている[1]。小企業の業種別では、製造業が▲15.3、卸売業が▲24.2で、卸売業は来期に▲27.8へ下がる見通しだった。
保証を使う企業でも人件費が最大の課題
日本公庫が10月29日に公表した信用保証利用企業動向調査は、全国9地域の信用保証協会を利用する企業を対象にしたもので、回答企業の約84%が従業員20人以下の小規模企業だ[3]。7〜9月期の資金繰りDIは▲12.3(前期▲14.0)、採算DIは▲12.1(同▲16.3)と、いずれもマイナス幅がやや縮んだ。経営環境で直面している課題を尋ねた特別調査では、「人手不足、人件費上昇」が60.2%で最も多かった。
2つの調査を合わせると、小規模な企業では、売上が大きく伸びない中で人件費などのコストが利益を圧迫している構図が浮かぶ。日本公庫は同時期に中小製造業の設備投資計画も公表しており、2026年度の国内設備投資額(修正計画)は前年度実績比17.7%増だった[2]。投資の余力がある中規模の企業と、採算の改善に苦しむ小規模事業者との差が、景況感の差にも表れている。
DIの読み方と調査の対象
小企業の業況判断DIは、業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた値で、7〜9月期は「良い」が21.1%、「悪い」が44.2%だった。中小企業のDIは前年同期と比べて「好転」と答えた割合から「悪化」の割合を引いたもので、季節調整をかけている[1]。小企業の調査は9月中旬に日本公庫の取引先1万社を対象に行い、5600社(回答率56.7%)が答えた。熊本県の115社には調査を実施しなかったとしている。
小企業の採算、年末商戦が試し
小企業は10〜12月期の業況悪化を見込んでいる。年末の需要期に、上がったコストを価格に転嫁できるかどうかが、採算DIのマイナス幅を縮められるかの分かれ目になる。来期の見通しどおり▲26台まで下がれば、2026年1〜3月期の▲26.4に近い水準に戻ることになる。
脚注
- 日本政策金融公庫 総合研究所「全国中小企業動向調査結果(2026年7-9月期実績、2026年10-12月期以降見通し)」(2026年10月28日) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/smseach2026_10.pdf
- 日本政策金融公庫 総合研究所「第135回中小製造業設備投資動向調査 2026年度修正計画」(2026年10月27日) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/news2026_10a.pdf
- 日本政策金融公庫「信用保証利用企業動向調査(2026年7-9月期実績、2026年10-12月期見通し)」(2026年10月29日) https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/hosyouyouyaku230.pdf

