
厚生労働省は2026年10月27日、危険ドラッグに含まれる3つの物質を新たに「指定薬物」とする省令を公布した[1]。11月6日に施行され、医療などの用途を除いて製造、輸入、販売、所持、使用などが禁止される。前日の26日に薬事審議会の指定薬物部会が指定は適当と判断しており、健康被害を防ぐため意見公募(パブリックコメント)の手続きを省いて急いだ。
危険ドラッグの3物質、指定薬物に
新たに指定されたのは次の3物質だ。省令上の名称は長い化学名で、ここでは同省が示した通称を挙げる[2]。
- N-Desethyl Protonitazene
- 5-MeO-MET
- 2-F-tropacaine
同省によると、いずれも海外で流通している物質だという[1]。施行後は、これらの物質そのものに加え、これらを含む製品も規制の対象になる。
違反した場合の罰則
指定薬物は、中枢神経に作用する可能性が高く、人が使うと保健衛生上の危害が出るおそれがあるとして厚労相が指定する物質で、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づいて規制される[1]。
- 製造、輸入、販売、所持、使用などの禁止(医療などの用途を除く)
- 罰則:3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金
- 業として行った場合:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金
施行日の11月6日以降は、手元に持っているだけでも罰則の対象になりうる。
8月にも4物質、続く「いたちごっこ」
同省は8月18日にも4物質を指定薬物とする省令を公布し、8月28日に施行している[3]。2カ月余りで、指定の手続きが再び必要になった形だ。
危険ドラッグは、規制された物質の化学構造を少しだけ変えた新しい物質が次々と出回るのが特徴とされる。新しい物質が見つかるたびに指定を重ねる形になり、規制は後追いになりやすい。今回の3物質のように海外で先に出回った物質が、ネット通販などを通じて国内に入ってくる経路をどう断つかが課題になる。
水際とネット販売の取り締まりを強化
厚労省は、危険ドラッグが海外から輸入されて乱用されないよう、輸入段階での水際対策を強めるとしている。インターネットでの販売も含め、薬機法上の無承認・無許可医薬品として指導や取り締まりを強化する方針も示した[1]。事業者に対しては、販売、購入、輸入をしないよう強く警告している。
指定薬物の追加は、乱用の兆しをつかんでから規制が施行されるまでの時間をどれだけ縮められるかの勝負でもある。今回は部会の判断から施行まで11日だった。海外での流通情報を早くつかみ、部会にかけるまでの段階をどこまで速められるかが、次の新物質への備えになる。
脚注
- 厚生労働省「危険ドラッグの成分3物質を新たに指定薬物に指定」(2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212707_00057.html
- 厚生労働省「新たに指定された指定薬物の名称」(別紙、2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/content/11126000/001762123.pdf
- 厚生労働省「危険ドラッグの成分4物質を新たに指定薬物に指定」(2026年8月18日) https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212707_00056.html

