精神障害者手帳、164万人に 5年で3割増 衛生行政報告例

厚生労働省が2026年10月27日に公表した2025年度の「衛生行政報告例」によると、精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)を持つ人(有効期限切れを除く)は2025年度末時点で164万6609人となり、前年度から9万9176人(6.4%)増えた[1]。2021年度末の126万3460人から5年で約3割増えた計算になる。

衛生行政報告例は、精神保健福祉や食品衛生、薬事など10の行政分野について、都道府県や指定都市、中核市からの報告をまとめた統計で、毎年公表されている[2]。

精神障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)、毎年6〜8%のペースで増加

手帳を持つ人の数は、ここ5年で次のように推移した[1]。

  • 2021年度末:126万3460人
  • 2022年度末:134万5468人
  • 2023年度末:143万8093人
  • 2024年度末:154万7433人
  • 2025年度末:164万6609人

毎年おおむね8万〜11万人のペースで増えている。人口10万人あたりでは1339.0人で、およそ75人に1人が手帳を持っていることになる[1]。等級別では、1級が14万317人(前年度比0.7%増)、2級が95万1204人(6.0%増)、3級が55万5088人(8.7%増)で、比較的軽い区分の3級の伸びが最も大きかった。

精神障害者保健福祉手帳は、障害者雇用の対象としての扱いや税の控除、公共料金の割引などを受ける際の証明になる。手帳の保持者の増加は、精神疾患を抱える人の増加だけでなく、こうした支援を受けるために手帳を申請する人が増えていることも映している可能性がある。

入院の届け出は横ばい、措置入院は増加

精神科への入院に関する数字も公表された。家族などの同意による医療保護入院の届け出は18万2905件で前年度から0.7%増えた。自分や他人を傷つけるおそれがあるとして都道府県知事の命令で入院する措置入院の患者は、年度末に1430人と7.0%増えた[1]。一般や警察官などからの申請・通報・届け出は2万6515件で、1.0%増だった。

センター相談の1割はギャンブル

都道府県や指定都市に置かれた精神保健福祉センターでの相談は、延べ7万7909人だった。内容別では「社会復帰」が1万9958人(25.6%)で最も多く、「心の健康づくり」1万150人(13.0%)、「ギャンブル」8229人(10.6%)が続いた[1]。アルコール(3723人)や薬物(3443人)の相談と比べても、ギャンブルの多さが目立つ。ゲームに関する相談は747人だった。

相談の要因別では、「ひきこもり」に関わるものが2万352人で全体の26.1%を占めた。発達障害に関わる相談は6465人、自殺関連は5400人だった[1]。

増える手帳と相談、地域の支援体制が追いつくか

手帳の保持者が毎年10万人近いペースで増える一方、相談の窓口となる精神保健福祉センターは各都道府県・指定都市に置かれた限られた拠点だ。ギャンブルやひきこもりのように長期の支えが要る相談では、センターから地域の医療機関や支援団体へどうつなぐかが重要になる。

手帳の増加は、支援につながる人が増えたことの表れでもある。その人たちが就労や地域生活で実際に支援を受けられているかは、手帳の数だけでは見えない。障害者雇用の実績や福祉サービスの利用状況とあわせて見ていく必要がある。

脚注

  1. 厚生労働省「令和7(2025)年度衛生行政報告例の概況 結果の概要 1 精神保健福祉関係」(2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/25/dl/kekka1.pdf
  2. 厚生労働省「令和7(2025)年度衛生行政報告例の結果を公表します」(2026年10月27日) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/25/dl/houdou.pdf
おすすめの記事